事業再生の現場から

心に残る言葉③

先達ての天気の良い日、取引先に向けて栃木県内の某市内をドライブ中、ふと思い出した言葉があります。

「優しいという字は、人を憂うと書くんだよ」

この言葉は、私が社会人1年生で足利銀行の某支店に配属され、初めて仕えた支店長が良く口にされていた言葉です。

大柄赤ら顔で声もガラガラしかも見事なスキンヘッドの支店長は、「部下指導」の際必ずと言って良いほど「優しいって字は…」と前置きしてから話を始めるのが好きだったようです。

入行当時の支店長と言ったら私達にとっては「雲の上の存在」ですが、豪放磊落と云うか、明け透けで人情味深い(弱いモノの味方)支店長が私は大好きでした。

時に、豪快な風貌と言動から想像できないような「細やかな気配り」も見せられ、女子行員からは父親のように慕われていた方でもありました。

どうして急にそんな事を思い出したのかと言いますと、当時支店長がお住まいになっていた旧銀行社宅跡をドライブ中に見つけたからです。

リストラで人手に渡ったであろう社宅跡ですが、私達にとっては支店の若手数人で奥さまの手料理をごちそうになったりと「想い出深い」場所なのです。

「優しいという字は、人を憂うと書くんだよ」

そう言いつつ、少壮の営業マンや中堅代理(役職者)に結構厳しい「指導」をされていた支店長。

「この世界で家族のために生きて行くなら、早く一人前になりなさいよ」という“愛のムチ”に心が籠っていたのですね♪

支店長が転勤で本部に異動する際「本部監査の際は是非甘めに…」と、つい口(ホンネ)を滑らせてしまった代理を支店長席前に1時間以上立たせご指導…。最後の最後まで後ろ髪(スキンヘッドでしたが)引かれる思いで転勤され、その後退職されてから20年以上経って再開した支店長は、当たり前ですが「好々爺」然とされた何処にでも居るおじいちゃんでした。

影響を受けた方から受け継いだ言葉っていうのは、つい他人にも言ってしまうようです。

私も部下を指導する際は結構使っていたかも知れません。

「優しいという字は、人を憂うと書くんだ」 有り難い言葉です。

 

 



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