事業再生の現場から

経営者保証に関するガイドライン

先日、取引先の社長から「個人保証の制限に関する新たな枠組みができたようなので教えて欲しい」とのリクエストがあり、慌てて情報を収集、先方に回答させて頂きました。

全国銀行協会のHPから「経営者保証に関するガイドライン」(H25年12月)が閲覧できますので、関心のある方は是非ご覧ください。

ちょっと堅い話ですが、その内容をかいつまんでご紹介しますと…

保証債務の整理適用対象者は、

1.過剰債務の主体たる債務者が中小企業であること

2.保証人は個人で、中小企業の経営者若しくはその家族(配偶者)であること

3.債務者・保証人とも弁済に誠実であり、財産状況等のディスクロに協力していること

4.反社会的勢力でないこと

且つ

1.法的整理手続中か、終結していること

2.再生支援協議会による再生支援スキームに乗っての再生支援先

3.事業再生ADR、私的整理ガイドライン、特定調停等の私的整理手続き中か終結先

4.保証債務整理が債権者(金融機関)の経済合理性に合致すること

なんだそうです。

 

私に電話くださった社長さんの目標と言いますか目的は、事業から引退されたお父上の「連帯保証」を合法的に外すこと。

通常は「有償解除」、一定の保証義務を履行することで連帯保証を逃れる方法を交渉するのが常道ですが、新聞・雑誌等で「個人保証関連のガイドライン」が出たことを知った社長は、「無償で」保証債務を解除できるんじゃないかと思われたようです。

会社業績が堅調であれば、代替わりして息子さんが保証人の地位を円滑に引き継ぐことも可能(このパターンが中小企業では一番多いと思います)ですが、業績悪化した後では、なかなか前経営者の連帯保証は外れません。

 

かと言って、履行できる可能性がほぼゼロに近い保証債務がネックとなって「事業再生」の足枷となっている事例も数多くあります。

ガイドラインに沿って、実務上どんな判断をされるのか注目しているところです。



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