事業再生の現場から

金融円滑化法の後に⑮

久し振りに「金融円滑化法」絡みの話題を提供したいと思います。

と言いますか、本日「金融庁が中小企業の転廃業を促す方針に転換へ!」との見出しが朝刊に掲載されたのです。

予て、円滑化法終了後も、中小企業の資金繰りを円滑ならしめんため最大限の配慮を金融機関に求めてきた金融庁ですが、「駄目なものはダメ」と、再生見通しの立たない債務者(借入人)に対して「市場からの退場宣告」も辞さない態度を金融機関に求める方向に舵を切り始めるようだ、と記事は紹介しています。

かつての円滑化法時代のように、資金繰り支援要請のためリスケ(借入金弁済の条件変更)の依頼があった場合、オートマチックに申し出に応じる事は無くなっていても、現時点に於いても、現場では「資金繰りに困ったらまずはリスケを検討」との感覚が根強くあるように思います。

それは顧客側(債務者)だけでなく、金融機関側(債権者)にも感じられます。

金融庁の新たな「指針」により、金融機関側の「債務者管理」がよりタイト(厳しく)になることでしょう。

資金繰りに苦しむ中小企業をこの数年たくさん見て来ましたが、手許現金が寂しくなって来たり、自己資本がマイナスになった(債務超過)ことをきっかけに相談されるケースが殆どです。

本当は、そういった「事象」が顕在化する前段階で相談を受けられれば、もっと選択の余地があるのにです。

人間に例えると、健康診断を受けていれば、病変について「早期発見」が期待でき、早い段階で健康体に戻れる、みたいなものです。

金融庁の方針転換を受けて、株高・不動産市況回復(本日の公示価格発表で鮮明)・景気回復の恩恵を受け体力が回復した銀行等の金融機関は、債務者の再生可否見極めに力を入れることでしょう。

私達の出番が増えて来るのでしょうか…。



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