事業再生の現場から

賃上げの効果は如何に…

大手企業による「春闘」賃上げ交渉の回答が、出揃ったと言う。

トヨタ自動車のベースアップ(ベア)4,000円を筆頭に、大手自動車メーカー、電機メーカー各社ともベア3,000円前後を提示し、組合側も(政府自民党も)概ね満足な回答であるとコメントしているようだ。

サラリーマンが対象となる「賃上げ」には、2種類ある。

1年ごと(?)に社内経験を積んで行くと給与水準が自動的に上がる「定期昇給」、所謂定昇(ていしょう)と言われるものと、給与基準そのものが上がる「ベースアップ」である。

「〇〇級××号俸」なんて給与モデル表に呈示されるが、1年を経過すると、××号に1がプラスされ、給与水準は1号上のクラスに移行して行く。

上場企業などの大手はこのモデル表がしっかりしているから、新入社員で入社した翌年4月(?)からは、入社2年目の水準の給与水準に上がり、以降順調に給与が増えて行くことになる。

今春闘で交渉していた「ベア」は、各級各号モデルとなる給与水準そのものを「上げる・上げない」の交渉であり、経済成長が鈍化したバブル崩壊後は、「ベア」が認められたというニュースは、殆ど耳にしなくなった。

日本を代表する自動車・電機メーカーにしても、3,000円レベルのベアで労使が妥結したなんていうのは、ホント久し振りのことなのではないだろうか。

 

ところで以前書いたように、日本の法人数の99%は中小・零細企業です。

しかも、中小企業で働く人の割合は、全体の約70%です。

中小企業の社長さん達に伺うと、80%以上は「賃上げなんてとんでもない」と回答して来ます。

原価の値上がりで、賃上げなんて余裕がない。将来のことを考えると、従業員の給与を上げて、優秀な人材を確保しておきたいのだが、今は目先の経営課題に追われるだけで精一杯。

そんなことを仰る経営者が大半です。

政府は「賃上げで実質所得は増えた、これもアベノミクスの成果」と声高に宣伝するけれど、一部の大手だけの話だと、中小企業経営者の指摘と失望感は深い…。

せめて、賃上げで購買力の出てきた人たちに消費を牽引していただき、そのお零れを我々地方・中小企業が頂戴する、そんな景気の流れが定まれば良いけど…



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