事業再生の現場から

全国「休廃業・解散」動向調査 2015年

帝国データバンク社から弊社に届く「TDBレポート」

特別企画として、表題が特集されている。

特集記事によると

1.2015年の企業倒産件数(法的整理・負債1,000万円以上)は、8,517件で6年連続して前年実績を下回った

2.背景には「中小企業金融円滑化法終了後も返済猶予を受けている企業が相変わらず多い」ことがある

3.倒産数減少の一方、後継者難や代表の高齢化を理由とする「休廃業・解散」が増加している

と全国中小企業の実態を分析しています。

 

「休廃業・解散」の実態を更に掘り下げると、「建設業」業種別でトップを占めているほか、その中でも「木造建築工事業」が細分類別トップになっている事を報じてもいます。

「木造建築工事業」と言うのは、「工務店」や「大工工事店」などをイメージすれば良いと思うのですが、確かにこの業種は、社長(親方)の属人的な技量に、売上・業績が左右されることが多い業界だと言えると思います。

独立して個人事業から始めて法人成りして行った会社も多いでしょうし、企業規模も零細・中小規模が多いでしょうから、社長(親方)の高齢化と共に市場から退出して行く、と行った事業の終わりを迎える例も多々いのだと思います。

 

私達の目から見ると、事業の「終わり方」が気になります。

資金的に余裕があれば「離業」できるのに、「事業を止めると支払ができなくなってしまう」との理由で、事業を「辞めるに辞められない」と話してくれる経営者が多いのも、実態としてあります。

事業採算改善が見込めず、将来収益(営業利益)がどうやっても見込めない事業であれば「勇気ある撤退」も必要だと、私は思います。

後継者不在、経営者の高齢化は、確かに廃業・解散のきっかけにはなるでしょう。しかし事業を辞めて(廃業)も、家業収入で食べていた関係者の生活は守られなければなりません。

関係者に「迷惑を掛けず」事業を清算してまた新たな事業ネタを興して行く、いわゆる「スクラップ&ビルド」的な中小企業の転身がうまく図れれば、雇用の維持や納税確保と言った社会全体にとってもプラスになる筈です。

アベノミクスも「コケ」気味ですが、中小企業の正念場はまだまだ続きそうです。



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