事業再生の現場から

金利引き下げの妙手は…②

昨日の続き…

マイナス金利が今年の流行語にもなりそうなほど、老若男女の関心を集める銀行の(貸出・預金)金利問題…。件の社長も個人の金利支出減に伴う税金増をボヤいてはいるものの、ホントのところは嬉しくて仕方ないのです。

ただ肩代わりによって、銀行取引のメンバーが大きく変化したこの会社ですが、会社の方はあまり金利削減メリットが働いていません。元々リスケ中だった他行借入金を、元気の良い支店長が思い切って肩代わりしてくれた経緯もあって、金利メリットが個人のローンほど大きく無かったのです。会社1.5億円・個人4億円というボリューム面の問題もあって、金利メリットが薄いと感じるのは仕方ない事なのですが…。

 

会社の借入金は、年利3%台半ばの金利が設定されています。

1年前に取引を“根こそぎ”掻っ攫われた元メイン行は、肩代わり実行直後から同社に日参し、取り敢えず信用扱いの貸出を1,000万円だけ押し込んだ格好で、社長とのパイプを繋いで来ました。

社長とパイプを繋ぎ続けることで、同社に変化があった場合何らかの提案をすべく、社長の近くで待機しているのでしょう。

 

現在の取引行におけるこの会社の格付は「正常先」だそうです。

自己資本もプラス、期間収益も3年連続で最終黒字を記録、問題はリスケした債務の出口をどうするかだけだったのですから当然です。

ただ、今の取引行が肩代わりを実行しようとしていた時の同社は、他行において「リスケ支援中」だったことは事実なので、肩代わり時に呈示された金利が、当時としても決して低利なものでなかったのでした。(それでも元々は4%台で借りていた資金を纏めたので、平均1%の収益メリットはあった筈です)

 

最近、その肩代わりされた元取引行の支店長から、現在の支払金利の1/3レベルの金利提案を受けていると、社長が私に明かします。

「まさか1年足らずで、また肩代わりして貰いますとも言えないでしょう(((^^;」社長が私に言います。

「でも一考の価値ありですね、元の銀行に戻らなくても、こういう競争が発生しないと、銀行っていうのは“既得権”を手放しません。競合先が出てきた今が、金利引き下げの大チャンスです。登記費用や円滑な金融取引を考えれば、このまま今の銀行さんに金利を下げて貰うのが一番良いのです。競合先の呈示金利まで一気の利下げは無理でも、0.5%単位で引下げに応じると思いますよ。だって元が高いんですから」と私も意見を吐きます。

 

「競合先の出現」は、銀行にとっても非常に嫌な情報です。でも選ばれる銀行にならないと、ある日突然、金利収入が0に…。そんなことが最近頓に多く行われているような気がします。(バブル時期は“肩代わり合戦”華やかなりし頃でしたが、最近も何かそんな風潮なんですかね)

借り手にとっては、そのような状況をどうやってうまく創り出して行くか、その辺りに金利引き下げの妙手が隠されているとだけ言っておきますね!(^^)!

 

 

 



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