事業再生の現場から

既存取引のデメリット・メイン銀行からの金利呈示②

昨日の続き…

説明不足の点を幾つか補正したいと思います。

 

業績急回復中にある某社の「リスケ出口」を迎えるべく、メイン行から他行借入の全面肩代わり提案がある旨の話を書きましたが、メイン行から呈示された金利は、同社の財務を含めた評点(実力)からは程遠いレベルだと感じており、そこが不満の点なのです。

具体的に同社の資金調達金利は、全行平均で凡そ2.625%水準です。

仮にメイン行以外からの借入金1億円を0.50%ディスカウントの2.125%で「借換」できれば、年間50万円の金利(経費)が削減できます。50万円と言えば決して少なくない金額です。

メイン行は、他行肩代わりに併せて、自行の適用金利も0.50%程度引き下げる腹積もりのようです。こちらは借入残高が2億円くらいありますから、年間削減される金利は100万円、先の50万円と合わせて年間150万円のコスト削減効果が出て来ます。

 

この提案は、同社にとって「好条件」のような気がしますが、昨日書いたように「現在の金利市場」と「銀行間の貸出競争」という現実を勘案すれば、「飛びつきたくなるような好条件」とは言えないと思うのです。

これには「既得権は手放したくない」メイン行の意向が強く働いています。

既存取引で平均2.625%の金利収入を得ている先に、融資残が増えるとは言え、1.00%を超える大幅な金利引き下げは、とても呑めない貸出条件なのでしょう。

実質的な金利の引き下げは、自行利益に直結する話だけに、できるだけ「小出しに」「回数を分けて」「段階的に」という意思が見え隠れします。

 

肩代わりされてしまう運命にある準メイン以下の下位行にも、事情があります。

肩代わりされてしまえば、既存の資金利益(金利収入)がゼロになってしまいます。だからと言って長年メイン行主導でリスケ支援を続け、格付も「要注意先」から引き上げる事のできない下位行に、「収益がゼロになるくらいならメイン行の分も含めて(貸出金を)呑みこみ、メイン行になってやる!」くらい気概のある担当者も、残念ながら見当たりません。

 

こう着した事態を動かすには「外部からの強い力」が必要で、それには護送船団方式で牽制しあう既存取引行に、争いを仕掛けて来る「黒船」が必要なのです。

黒船=元気の良い銀行!(^^)!

もう少し待ってみようか…。

 

 

 



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