事業再生の現場から

信用補完制度見直し後の現場の空気

この4月から、中小企業の金融を円滑ならしめん事を目的として存在する信用保証協会と金融機関、資金調達を希望する中小企業との関係が微妙に変わったと言います。

信用補完制度と言うのは、中小零細企業が金融機関から資金調達しようとする時、不足する信用力を信用保証協会が「保証」機能を発揮することで、金融機関からの調達を円滑なものにするという目的で制度化されています。

簡単に言うと、「保証協会保証が付保されると金融機関は簡単に中小企業に融資をしてくれる」、というアレです。

万々が一ですが、金融機関から借りた資金返済が困難になると、信用保証協会が「代位弁済」と言って、借り手に代わって金融機関に融資金を返済してくれますから、貸し手(金融機関)側にとっては、非常に使いやすい制度ですし、借入に四苦八苦する中小零細企業にとっては、非常に有り難い制度でもあります。

今回の見直しは、「事業性評価」によって中小企業を再評価しながら指導・支援して行くべき立場の金融機関が、信用保証協会への過剰依存によって、かえって円滑な金融調整機能が損なわれていることに対する「反省」と、未来に対する「責任」が大義名分となっているようです。

 

この信用補完制度の見直しが始まって1か月が経ちました。

私の担当する取引先からも、それ以外の中小企業経営者からも「保証協会の対応が厳しくなった」という声が聞こえて来ています。

保証協会の新規保証申込時の対応が厳しく(保証金額や資金需要の理由等)、また従来保証協会単体で取り扱っていた融資を取扱窓口となる金融機関との「協調融資」が条件となるなど、現場レベルでは「保証協会の対応が厳しくなった」と感じさせる例が頻発しているようなのです。

実際、金融機関の担当者からも「保証協会の対応が従来と比べて厳しくなっているので… 今、店内で案件を揉んでいますので…」と、なんとも歯切れの悪い回答を聞くケースも出て来ました。

 

確かに「保証協会が付保されれば、当行のリスクはゼロ」(実際は10年くらい前から始まった責任共有制度があるので20%相当分は金融機関がリスクを被りますが)と、安直に融資をされても困りますが、本来の趣旨「中小企業の金融を円滑ならしめんため」存在する信用保証協会の与信方針が急転回されると、困るのは中小零細企業です。

今、現場では金融機関担当者も「困惑」しているように見えますし、従来割と円滑に行っていた「資金調達」が簡単に行かなくなっている等の事例が出て来ているのも現実です。

本来の「あるべき姿」に戻ったと言えば、確かにその通りなのですが…

なにか釈然としないのは私だけでしょうか、ねぇ…

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です