事業再生の現場から

サ高住経営者の嘆き…

事務所で留守番をしていたら、突然電話が鳴り出しました…。

「電話帳を見て連絡したのですが…、高齢者向けの賃貸アパートと介護関係の事業をやっています。介護報酬が入金になる前に従業員の給与支払分が不足してしまうのですが、融資は可能ですか?」

お話を伺って行くと、緊急性ありの案件

「できるかどうかはともかく、詳しいお話を…」と言う事で、先方の了解を得て、その日の夕方相談者の事務所を訪ねて来ました。

基本弊社では、一見客(電話での照会者等)の融資案件は取り上げない方針ではあるのですが、電話で聞いて来られた代表者(高齢の女性)の口調や内容が何故か私の琴線に引っ掛かり、詳しいお話を聞いてみたいと思ったのだと思います。

 

相談者の事務所にお邪魔して、依頼していた決算書や試算表を見せていただき、資金不足に陥った背景をお尋ねしました。

この社長さんは元々運送業を営んでいたそうなのですが、10年くらい前に介護事業(デイサービスや訪問介護事業)に転業し、数年前にサービス付高齢者向け住宅事業にも参入、医療系資本では無いながら、堅実なオペレーションを行っていらしたようです。(決算書の流れを見るとそう見えます)

ところが、介護報酬がこの数年で諸々合わせると20数%減額となったことで会社としての売上が減少、介護スタッフ不足と人件費上昇で、介護事業そのものの収益力が激減していると言います。

更に苦境に輪をかけたのが「サ高住」の問題です。

サービス付高齢者向け住宅は、有料老人ホームや特別老人介護施設(特老)など、定員一杯の満室で要介護者のニーズに応えきれていない現状を打破すべく、政府肝いりで「5年間で5,000棟を設置」等のスローガンが掲げられ、全国で大小規模の高齢者向け集合住宅の建築が始まったのでした。

政策支援で政府基準に合致したサ高住には補助金が着いた事もあり、あっという間に数多くのサ高住が私達の身近にも出現しました。

 

この社長さんも高まる介護需要を背景にメイン行から2億円近い借入を調達し、新築のサ高住を取得しました。

ところがサ高住運営開始から2年も過ぎると、入居者一人当たりの介護点数が減額となったり、他の介護事業収入が減らされたり、毎年4月になると何らかの理由を付けられ介護予算が削られることで、自分達の売上(収入)がどんどん減って行ったと仰います。

(この辺りは、介護事業を別でやっている知り合いの社長さんと同じことを言ってるので、本当の事なんでしょう)

そういう状況ですから、銀行から2億円も調達した借入金の返済が苦しくなります。

この設備資金は数年前から「リスケ」済で、以降メイン行を始めとした複数の金融機関からの借り入れはNGとなったそうです。

 

ダラダラ書いてしまいましたが、纏まりそうもないので、続きは次回に…

 

 

 

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です