取引先A社の与信先という立場で足掛け3年くらいお付き合いのあったB社が、8月末に某上場企業に買収され関連子会社となりました。
A社は中堅企業でありながら財務基盤の強い製造業者で、その財務力と社長の事業拡大意欲も相俟って、協業できそうな中小企業に資本・業務提携を積極的に提案し急速なペースで業容拡大を続けています。
例えて言うなら「日本電産(現ニデック社)をM&Aで国内有数の部品メーカーに育てた永守重信元会長みたいな」経営哲学を持った経営者であると尊敬して、私は日頃接しています。
余計な話ですが…(ニデックは不正会計問題が収束せず、現在上場廃止ギリギリの塀の上を歩いているような状況ではありますが、同グループを現在の規模に育てたのは永守元会長の手腕であることに異論を唱える人は皆無でしょう)
さて、そのA社長が「面白い商品をプロデュースする会社」と位置づけ、資本・業務提携を前提として資金繰りが忙しいB社に1年間という短期で3,000万円を貸付けたのが、まさに1年前の10月中旬のことでした。
B社に融資をするに当たって同社の財務情報や資金繰り動向を分析、保全手段も考え両社に提案、合意に至るまでの交渉を仕切ったのも弊社です。
融資金は3,000万円、金利 2.00%は 当時B社が取引銀行から借入していた銀行金利よりも低利で、B社は毎月借入利息 約50,000円を支払うことで、銀行が渋っていた運転資金を確保できることになりました。
当時、B社は売上規模は年商7億円を超え営業利益も毎期1億円に迫るほどの収益力を持っていましたが、自己資本が億単位の債務超過状態にあり、銀行から新規与信は数年楽実績が無く、一方でリスケもしないでいたことで「ファクタリング」に頼った資金繰りを余儀なくされ、資金繰り破綻一歩手前と言っても過言ではないような状況でした。
取引先が提案した資本・業務提携と先行支援した3,000万円の融資は、B社にとって「砂漠のオアシス」的支援だったに違いありません。
ところが事態が急変することになります。
A社が銀行と密かに進めていたM&Aが急進、この会社も某上場企業に買収されることになったのです。
もちろん結果がプレスリリースされるまで私も知りませんでしたが、A社がB社に打診していたラブコールが買収した親会社の意向で「見直し」の結論となったのです。
正式に資本・業務提携契約を締結する前の「先行支援(融資)」でしたので、AB両社長とも契約の棚上げに合意し、融資金はそのまま来年1月に期限を迎える、そんな状況でこの半年は時間が過ぎていました。
A社が上場企業の子会社に組み込まれて「事情が変わったので…」とは言え、A社としては「貸出金 3,000万円」を親会社の手前、円滑に回収しなければならない立場となっていました。
相手は一旦3,000万円の融資で一息ついたものの、相変わらず時にはファクタリングをつまみ喰いする会社です…
私もこの状況を憂い心配していたのですが、先般B社長と接点を持った際に「実は東証〇〇市場の×××という会社に買収して貰うことになりました」と知らされ、「A社からの借入金は期限に全額弁済する予定です」とフォローされた時は、正直ホッとしたのです。
稼ぐ力の強いB社は、上場企業で「成長ドライブ」を株主から強く求められる親会社にとって魅力的に映ったのでしょう。
B社には億単位の資金が親会社から提供され、財務を始めとした課題箇所への梃入れが始まっているとも聞きます(B社長談)
弊社の取引先はA社ですが、B社にとってはM&Aを活用した再生実例となれるかどうかの試金石となった秋です。
親会社からのそれなりの支援はあると思いますが、その結果はどうなるのか?
上場企業の関連子会社なので、決算時期には有価証券報告書等で経営実態を知ることも可能でしょう。
果たしてM&Aを活用した再生の好事例となるのか、密かに注目しているところです。

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