事業再生の現場から

リスケの出口が見えた!!

弊社の取引先であるA社は、高度成長期に時流に乗ってビジネスを拡大、創業者である先代が健在な時代に膨大な資産を築き上げました。

ところが時代が変わって業界自体が急激に縮小、売上・利益とも前年割が続く厳しい環境の中、後継者として事業を継いだ現社長(創業者の長男)は、先代が残してくれた資産を切り売りしながら、何とか今日まで事業を継続して来ました。

粗利段階でマイナスという厳しい決算が続き、見る見るうちに手許資金が枯欠、全資産を売却して清算できれば“御の字”の状況下でしたが、実際には「債務超過」で銀行や業界関係者に迷惑を掛けないで廃業する、というのには無理があったような、そんな状態でした。

5年前に人を介して弊社と知り合い、資金繰り維持のためにまず銀行筋にリスケを依頼、この当時は「中小企業金融円滑化法」制定前でしたので、我儘放題言い放つ片手に余る銀行相手にひたすら「改善計画」を説明し、やっとの事で金融機関からの支援を得られたのが、つい昨日の事のように思い出されます(笑)

 

昨日そのA社長を訪ね、2月末時点での試算表の結果を基に、今後どういう施策で経営改善を進めて行くか話し合う機会を持ちました。

開口一番A社長から「村上さん、メインのB銀行から“借り換え”の提案があったんです。一昨日次長が来てくれて、リスケしてある残高に他行の分を含めて纏めるから(要は他行肩代わりですね)、全部B行に任せてくれないかって言うんですよ」

「ほうっ、B行も随分と豪勢な提案を持って来ましたねぇ。他行の分と合わせると、返済金額は減るんですか?」私が尋ねます。

「今の返済額(元金)が全行合わせて月50万円でしょ。B行は、サブメイン以下を全部纏めて15年返済にすると、月々の支払が100万円以内に収まるって言うんですよ。それで試算表を見て行ったんですが、今期(6月決算)できるだけ頑張って利益を残して貰いたいと。そうすれば今年中に、全部纏めてB行が面倒を見るって言うんです」

「へーぇっ、随分ハッパをかけて行きましたね、B行。確かに月額100万円の元金返済なら、行けますね。そんじゃぁ、B行にやって貰っちゃいますか? いずれにしても、何処かの時点でリスケも出口を見つける必要がありますからね」

 

結果だけ聞いちゃうと、「なーんだ、リスケ出口の話かよ!」と思われるかと思いますが、此処に来るまでには結構な紆余曲折があったんです。

少しA社に絡むお話を続けたいと思います…。(次回へ)



コメント

  1. 山田の案山子 より:

    お久しぶりです。
    リスケはしませんでしたが、随分前は借り換えの連続でした。
    毎月250万円以上の返済がありましたし、季節制度資金もありましたので、年に何度もの借り換えは一苦労でした。
    返済して行く内に運転資金が枯渇してしまう・・・そんな連続でした。
    遊休に近い資産(生産で利益を産まなくなった)固定資産の売却と人員整理・売上形態の転換等と色々やりました、やっと固定資産が売却でき人員整理も完了し、業態の転換も終わる頃利益が出てくるようになりました。
    物事は一つが上手く回転すると連鎖したように好回転し始まる、不思議なものだと思いました。

    • 村上 浩 より:

      山田の案山子様

      いつもご覧いただきありがとうございます。
      私も「山田の案山子」様の体験談、非常に興味深く読ませていただきました。
      やはり、ご自身の実体験だけに内容に迫力がありますね。
      皆様のご迷惑にならない範囲で、私の想いや感じた事をこれからも発信して
      行きたいと思います。

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