事業再生の現場から

事業展開を急ぐ青年実業家…

昨日の事だが「事業拡大を目指しているので金融機関から資金調達をしたい、借入したいのは年商規模の金額だが、取引行に説明してもどうもしっくり来ない、プロの目でアドバイス貰えないか?」とのリクエストがあり、都内某所で30代半ばという青年事業家と面談して来ました。

起業して3期目、2期目の売上が約3億円、繰越損失(創業赤字)を前期決算でリカバー、2期決算時点での総資産は2,000万円余しかないので、少ない資産で高い売上・利益を稼いでいる内容です。

「効率的な良い経営をしていますね」お世辞じゃなくて、本気で私が社長さんの上手な経営を褒めます。

しかし彼はそんな事に全く満足していないようです。

「30歳で起業し35歳の時点では総資産100億円の企業を経営しているイメージと目標を持ってやって来た。孫さん(ソフトバンク会長)なんか今度3兆円の買い物でしょ? ソフトバンクGの総資産12兆円を活用したレバレジット経営ですが、ボクも早くそういう仲間に入りたいので…。こんな3億円くらいの売上では全然…」

んっ?、大言壮語?? 少し不安になりました(ToT)

 

なるほど彼の事業(サービス業)は、粗利益も高くビジネスモデル自体も、先駆者が居て成功する可能性が見込めるものと思います。彼の言うように、資金調達によって人財・仕入資金を手に入れることで、既存事業を拡大する事は可能かも知れません。

「ボクが3億円貸してくれって頼んでも、どうも銀行の人と話が噛み合わないんです」

一気に事業拡大を目指して元手となる手許資金を調達したい青年実業家と、じっくり足元を固めて実力・信用を具備しながら事業拡大を目指した方が会社(経営者)のためだと考える銀行筋とでは、確かに話は噛み合わないでしょう。

 

「プロの目から見て幾らくらいなら資金調達が可能でしょうか?」青年実業家がお尋ねになります。

「正直、実績と事業の見込み、金融機関側からの事情を考えると、現時点では5,000万円が精いっぱいというところでしょうか。それも信用保証協会の保証を付けてくれと言われるでしょうね」と私。「私もそんなに事業拡大を急ぐべきではないと思いますよ、老婆心で申し上げますが…」

「いやっ全然遅いんですっ。何も持っていないボクがこんな体たらくでは、持っている人達はドンドン先に行ってしまうので…」

 

昨日はアドバイスするだけで辞去して来ましたが、勢いのある事業家に圧倒される思いでした。

世の中にはいろいろな人がいる…

自分のモノサシだけでは、世の中とても計れない、そう思った出会いでした。

 



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