事業再生の現場から

収束する気配の無い「吉本騒動」に思う

反社会勢力の宴席に出席し、所属事務所に内緒で報酬を貰っていた(いわゆるヤミ営業)とし、写真誌に糾弾された後も、後輩芸人を巻き込んだ「裏工作」(報酬は貰っていなかったとの口裏合わせ)が表沙汰となり、自ら芸人を引退すると「ケジメ」を示唆していた先輩芸人が、一転(それ以前の報道から感じる私の私見です)、事務所の反対を押し切って記者会見を開いた途端、マスコミの関心事が「反社会勢力」の勢力維持に図らずも利用された芸人たちへの処遇の軽重から、事務所(会社)VS所属芸人の対立へと移行し、それ以来どうでも良い事なのに、連日TVの話題は「吉本騒動」一色となっています。

“どうでも良い事”と批判を覚悟で敢えて書いたのは、「それは吉本興業という芸能事務所で起きている、いわば内輪の問題なのだから、そんなの当事者間で問題解決すれば良い事なんじゃないの」と、私は思っているからです。

 

芸能事務所という特殊性があるんでしょうけど、今回の騒動が大きくなったのは、所属芸人が事務所の許可を得ずに記者会見を強行して、世間に対して「社内の闇」と言うか不条理を明らかにした事にあります。

吉本興業では、「師匠」について作法から芸まで学ぶ徒弟制度のような事はしていないそうです。

多くは傘下の「お笑い専門学校」を経て、事務所と契約する芸人が現在は多数を占めているそうですが、その所属芸人の数は6,000人もいるそうですから、ビックリです。

本来は会社と芸人が「契約」に基づいて、業務や報酬について取り決めをしている訳ですし、人気芸人ともなれば都内に大豪邸を所有し贅沢な暮らしもできる訳です。

「売れない芸人は喰えない」という定説は、その通りでしょうし「夢」を諦め、正業と言うか生計を立てやすい安定した職業に転職する芸人も多かろうと思います。

そんな厳しい環境で競争しながら「闘っている」のですから、「芸人の世界」とは、私たちが普段思っているような世間一般の常識が通用しない事も多かろうと思います。

ですので、芸人の記者会見依頼、「会社のパワハラは酷い」とか「労働環境が劣悪で生活も保障してあげないと…」とか、マスコミが急に芸人側に立って彼らを擁護、会社側を批判する立場で問題を捉えているのは、果たしてどうなのかな?と思っていたりします。

 

会社の代表が「大物芸人の一言」で記者会見を開くとか、所属芸人が事務所の反対を押し切って勝手に記者会見すると、この会社のマネジメントはどうなっているの?

吉本興業という会社は不思議な会社ですね。

事務所を代表するような大物タレントはギャラもそれなりに高いのでしょうから、独立しても事務所の財布への影響は小さい(小さくないのかも知れませんが)でしょうに「大物」の言う事は聞く。

一方、安いギャラで事務所の財布への貢献大と思われる中堅以下のタレントの言う事には耳を貸さない(報道によると)。

辞められて困るのは、大物より中堅以下のタレントなんじゃないのかなぁ…

 

経営陣を巻き込んだこんなドタバタが続くと、芸人を使うマスコミ各社や広告代理店、それよりスポンサーとなる大手企業そのものから「吉本芸人NG」が出されるんじゃないかと、余計な心配ですが…

だって所属芸人による「公の場」での会社の糾弾って、いわば「クーデター」「謀反」みたいなものでしょ。

大会社の経営者にしてみれば「所属芸人のマネジメントもできないで、何が経営者だ」って、思う人もいるかも知れません。

 

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です