事業再生の現場から

地銀は生き残れるか㉔

取引先の社長さんから、貴重な情報を得ました。

この会社は埼玉県内に本社を置く、売上規模 5億円規模の中小企業なのですが、なんと「福岡銀行」から1,000万円の融資を受けたと言うのです。

「えっ、福岡銀行って、あの福岡県の福岡銀行ですか? でもなんで福岡銀行?ネット受付ですか?」と私。

「そう、福岡県の。あのフ・ク・オ・カ・ギ・ン・コー」笑いながら社長さんが話を続けてくれます。

話を纏めると、やはりネット受付で「申込」から「審査資料の提出」「実行」まで、全てインターネットで対応したそうです。

この会社は、メイン行他から3億円を超える借入をしています。しかも1億円を優に超える「債務超過先」で、中小企業再生支援協議会(この4月から活性化協議会に名称変更)が入って、全金融機関からの借入金はリスケ支援を受けている最中です。

既存の金融機関からは「自賄の資金繰り」を求められているので、新規融資はなかなかハードルが高い、そんな状況にありました。

そんな中、目端の利く社長さんが、この融資商品を見つけ早速打診、1,000万円の新規融資まで漕ぎ着けたという話なので、私もビックリした訳です。

 

福岡銀行のHPサイトを覗くと…

たぶんこれかな「事業性融資 フィンディ」なるロゴが踊っています。

全国の中小企業向けの商品で、借入金額は100万円~1,000万円、無担保・保証人不要、金利は2.0%~14.0%となっていますが、特筆すべきは「福岡銀行の口座を持っていなくても申込できる」事。

来店不要・24時間受付でAI審査により最短即日融資実行と、謳い文句は、まるでどこかのサラ金のよう…

15年くらい前の事ですが、当時、メガバンクを中心に「ビジネスローン」なるモノが流行りました。

無担保の長期(5年が主流だったか)融資で、1,000万円~3,000万円を上限とした資金使途自由な融資でした。

その後、地銀業界も追随し活況を呈しましたが、ある時期から、たぶん貸倒率の高さに驚いての決断だと思いますが、ビジネスローンの「ビ」の字も見聞きする事が無くなりました。

福岡銀行を含む「ふくおかFG」は総資産規模で、今や横浜銀行を傘下に持つ「コンコルディアG」を抑え、地銀トップに君臨しているようです。

「全国どこからでも融資申込を受け付ける」福岡銀行。

かつての常識では考えられない事でもあります。

地銀業界内外での生き残りが、厳しさを増しているようです。



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