事業再生の現場から

旧加治金属工業の破綻

地元宇都宮市でも有数のネームバリューを誇った「加治金属工業㈱」(現社名・㈱朋栄工業)が、東京民事地方裁判所に再生法の適用申請を行ったとのニュースが伝わって来ました。

報道によると同社の負債総額は約23億円の見込みで、旧加治金属工業から現社名に商号変更したうえで、栃木県中小企業再生支援協議会等の支援を受けながら「地力再生」の道を探っていたということですが、遂に「法的手続き」による事業再生に舵を切った、と言うべきでしょうか…。

戦前、旧日本陸海軍の航空部隊を支えた中島飛行機(富士重工→スバル)向けに金属表面処理(鍍金塗装)技術を持って支えたルーツを持つ同社は、戦後も技術投資と研鑽を続け、現在もスバルを経て航空・宇宙産業界において、大いに貢献していると聞きます。

 

その旧加治金属工業ですが、金融機関との不和説が漏れ伝わって来たのが数年前です。

決算に疑義があるとして、取引金融団の中で議論があったとも聞きますが、今となっては真実を知ったところで詮無きことです。

まぁそういう情報もあって、この数年、同社の動向に私ながら注目していたところでした。

つい先日も「加治さんところは大丈夫なんだろうかね…?」と某中小企業の社長さんから「謎かけ」のような質問があったのですが、私は「スバルから社長を招聘して加治さんの支援体制を組んでいるとも聞いてますし、大丈夫なんじゃないですか」などと無責任な回答をしていたような始末です(((^^;

(この社長さんは加治さんと取引がある業界人じゃないので、私の回答によってどうのこうのは無い筈ですが(笑))

ところが報道によると、㈱朋栄の代表者は加治さん姓になっていますし、私が勝手に描いていたイメージ(加治金属は主力取引先のスバルから経営陣が派遣され、再生支援協議会の調停で金融調整が進みつつあり、過剰債務ながらも当面は手荒な動きは見せないのだろうな、という勝手な思い込み)とは異なり、法的再生の道を歩み出そうとしていた訳です。(情報分析を誤り、誠に恥かしい思いです)

 

地元でも技術力の高く発信力のある企業として有数の企業さんですから、今後も破綻前後の事情については後追い報道が続くかも知れません。

民再法でスポンサーは決まっているのか、カット率がどれくらいになるのか、今後も同社に注目する経営者・関係者が多い事でしょう。

 

 

 

 



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