事業再生の現場から

ヤマト運輸の機構改革、結果に注目

「クロネコヤマトの宅急便♪」で知られるヤマト運輸を傘下に持つ「ヤマトホールディングス」が、グループ企業を統治する持ち株会社から「事業運営」に従事する事業会社に移行するという「構造改革」案を発表したそうです。

「構造改革」というワードには、上場企業など「大企業」ならばこそ、の音感と言うか“響き”がありますが、どうも「組織運営がうまく行っていない、だからこそ組織や仕組(構造)をいじくり回したい」的なイメージがつき纏います。

私なんぞがサラリーマンでいた当時も「構造改革」と銘打っては、組織体制なんぞを数年単位で繰り返していた記憶がありますが、ハッキリ言って「何が変更前後で変わったのか」良く分かりませんでした(笑)

今回ヤマト社の場合は「純粋持ち株会社」から「事業会社」に移行するから、それはそれで大きな変革なんでしょうけれど、そもそもかつてのヤマト運輸は「持ち株会社化」などせず、クロネコヤマトを中心とした「宅配便」で急成長した運送業者なのですから、元の形に戻っただけであり、言ってみれば「先祖返り」したようなものです。

 

ヤマト運輸は、EC(電子商取引)など激増する荷物運送に人手不足や諸物価値上げが重なり、2年前に荷物の取扱量を削減する目的で(業界に先駆け)大幅な値上げを敢行しました。

これによって荷重労働や恒常的なサービス残業から従業員を解放した「先進的な運送会社」の企業イメージを持たれましたが、当社の値上げによる顧客離れが予想を上回り、業績はなかなか好転しません。

という流れの中の「事業会社」への回帰なので、事業環境の変化への速やかなる対応を目指した事業会社化と言うのは、「収益拡大」路線への再回帰である事は、間違いないと思います。

「従業員に優しい企業」が「収益力の高いエクセレントカンパニー」となっていない事が、経営陣の誤算なのでしょうけど、個人宅への宅配を事業化し運送業界に新風を吹き込んだユニークな経営で知られるヤマト運輸経営陣が、今後どんなかじ取りをして「エクセレントカンパニー」化を目指して行くのか、注目です。

 



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