事業再生の現場から

商いとは人を遺(のこ)すもの

先月の事ですが、取引先の社長さんが亡くなりました。

70代半ばで経営している会社の「再生」を一緒に目指して来た仲でしたし、ビジネスについて私が教えを乞う機会も数多くあり、とにかく前向きで包容力のある立派な社長さんでした。

先週、息子で関係会社の社長を務めるAさん、亡き社長に背中を押されサラリーマンから一念発起して起業したというB社長、亡くなった社長の部下で、今はAさんが経営する会社に転籍する予定のCさんと私の四人で、故人を偲んで都内某所で会食するという機会がありました。

皆一様に故社長にお世話になったエピソードを語っていたのですが、特筆だったのは元社員Cさんの話…

Cさんは中国籍で日本に留学経験もあるビジネスエリートなのですが、ある時期、勤務していた外資系企業の中で精神的に追い詰められ、生き甲斐も無く虚しい日々を過ごしていた時代があったそうです。

偶々ビジネスで中国を訪れていた亡き社長の現地アテンドをする中「C君!!うちに来ないか?会社は小さいけどうちはこれからの会社だし、何より若手のアイディアをどんどん取り入れてどんどん成長して行くんだ!!」と、社長自らスカウトして貰ったんです、Cさんは言います。

「最初の3か月は社長のかばん持ちで、各地の出張・商談に同席させて貰い、社長の考え方やビジネスの進め方等を一通り学ばせて貰ったんですが…」

ある時から、「C君、もう私のかばん持ちはよいから、X社と連絡を取ってこの商談をまとめなさい」って、突然突き放されて…

「それから2週間、X社の調査や商談成立によってX社の得る利益、他社にない当社の特長等々について寝ないで資料を作りましたよ(笑)、結果最後には社長の手も少し借りたんですが、商談が成立しまして…凄い自信になりました」

 

Cさんの当面の目標は「お世話になった社長の恩を息子のA社長に返す事」だそうです。

腐って人生を棒に振ろうとしていた自分を、「前向きな人生」を送るために努力を惜しまない人物に生まれ変わらせてくれた亡き社長に恩義を感じ、その死後は恩人の息子に骨身を惜しまず貢献しようとするビジネスマンC氏

私がこよなく愛する韓国時代劇「商道(サンド)」で、主人公が(商売の)師に「良いか〇〇、カネや財を遺(のこ)すのが商売なんじゃない、人を遺すのが商売だ、遺った人材が利益なんだ」と、人材育成の大切さを教えられるシーンがあります。

なるほど、こうゆうことか…

三国志に「死せる孔明生ける仲達を走らす」という故事があるけど、亡くなった社長は、亡くなってからも私たちにビジネスの基本を教えてくださいました…合掌

 



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