事業再生の現場から

時効成立③

一通り「時効」についてA元社長夫妻に説明した後、

保証協会から今後「時効中断」の動きがあった場合の対応

についてアドバイスしたのが、今から2か月と少し前でした。

 

その後「時効成立」の前々日にA元社長から電話が入り「あれから担当者が2回くらい来たけど、私は医者に行っていたんで女房が対応したんだよね。女房にも言い聞かせてるから、返済もしてないしどんな書類にも署名・捺印もしていない…。このまま時効完成まで行っちゃうんだろうか?」と現況を報告して来ました。

「配達証明付の内容証明が期日内に送達されると、時効期間が6か月延びます。まだ安心はできませんよ」と私。

社長には言えませんでしたが「そんな簡単に時効を許すほど“緩い管理”はしていないだろうし、時効が目前に迫っても、何か“奥の手”のようなモノがあるかも知れない」と、私自身は最後の最後まで「時効成立」はあり得ないだろう、と正直思っていました。

 

そうこうしているうちに運命の○月××日を迎え、その日も静かに過ぎて行きました。

最終弁済日(債務承認日)は、ぴったり5年前の平成21年○月××日です。

銀行返済が滞ってから、今日まで差押はありませんでした。(自宅は保証協会代弁前に任意売買で関係者に買い取って貰っていました)

さらに今日まで債権者から訴訟申し立てられた事も無く(訴訟で敗訴すると、確定判決の日から10年間に消滅時効期日が延びます)、一番心配していた時効期日前の請求(今回の場合は内容証明郵便で来ることを予想していましたが)も届かず、あっけないほど簡単に○月××日が過ぎて行ったのでした。

 

「時効ですね」私は、A元社長に連絡しました。

「現時点でわざわざ“時効確認の訴訟”を起こす必要はないと思いますが、保証協会側が弁済を求めて自宅にやって来たりしたら、訴訟も検討すべきですね。心配なのは、時効期間が成立しても“弁済”してしまうと、時効が中断して主張できなくなってしまうことです。何か変わったことがあったら、私に連絡してくださいね」

本当に時効が成立してしまいました。

この仕事をしていて様々なケースを見ていますが、実際に借入金が「消滅時効」まで行ったのを見るのは、私は初めてです。

大抵は「時効中断」で債権者は訴訟をして来ますし、何より「少額弁済」ができる先は、それをお薦めしているから。

今回のケースは、私もびっくりでした!

 



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