事業再生の現場から

あんぽん 孫正義伝

今回も私のお薦めです。

知ってる方が殆どで、私のように知らない人の方が少ないのかも知れませんが…。

先日、表題の孫正義伝(小学館文庫・佐野眞一著)を読み終えました。

ソフトバンク社長である孫氏を礼賛する本には正直ウンザリですが、著者は、以前ここでも紹介した「甘粕正彦 乱心の曠野」の著者でもある佐野眞一氏ということで、早速立ち読み、即購入を決めました!!

佐野氏の取材力にインタビューに応じた孫氏が驚く場面が出て来ますが、日本で成功した孫正義氏の父方・母方の先祖を追って、日本各地は元より、3代前に遡るため何度か韓国を訪れた著者の取材力と、執念と言うか知的好奇心には頭が下がります。

そして、普通なら嫌がりそうな、親族の恥部に近いような話にも、鷹揚な態度で対応する孫氏の「大人ぶり」にも感心しました。

戦前、炭鉱労働者として「強制連行」に近い形で来日した、父方祖父と母方祖父。

祖母も在日朝鮮人として、九州で肩を寄せ合って生活していたそうです。

戦後、一度は故郷(韓国)に戻ったものの、仕事が見つからずに再び日本に帰国、この時は木造船で命からがら密航して来たそうですが、そういった孫氏の父母とそのご先祖の苦労と履歴を、著者が次々と炙りだして行きます。

「有名税」と言ってしまえばそれまでですが、なかなか此処まで書かれると、事実だとしても「ちょっと勘弁してください」と、当事者であれば言いたくなるようなエピソードも多数紹介されています。

孫社長の父方兄弟の不和や母方兄弟の母親評など、綿密な取材がなければとても書ききれない内容だと思います。

孫社長に対する、ある種の“胡散臭さ”と本の中では指摘していますが、確かに私も感じない訳ではありません。

ただ、本書は、孫正義氏を礼賛しいてるものでは無く、孫正義という人間が何故生まれたのか、その考え方や行動理論の背景にあるのは何か、を鋭く衝いていると思いました。

何か暇つぶしになることは無いか、とお考えの方にお薦めです。



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