事業再生の現場から

決断の連続…経営者の苦悩②

昨日の続き…

 

目に見えて活力が失われつつある作業ライン

右肩下がりの部門別売上・利益管理表…

専業性志向の強い従業員とそれを許してきた社風

感謝の心でもって、従業員を大事に大事に扱ってきた経営者

 

一朝一夕では代えられない周りの環境を挙げただけでも、ため息が出そうだ…社長は仰います。

でも 1年前までは、一人の現場リーダーが全ての状況を受け入れ、少なくとも問題が顕在化する事無く、生産現場を回してくれていたのでした。

今、問題が顕在化しているのは、環境の変化というより、「人」の方に要因があると思わざるを得ません。

俗に「器量」という言葉があります。

この経営者が現担当者の「器量」を見誤って、大役に就けたことが、今の混乱の原因でしょう。

少し前に現担当者から意見を聴いたときに、私も少し感じました。

 

諦めきれない社長を、他部門の責任者(部長クラス)から決断を促すよう意見具申が続きます。

自分の部署で「優秀」とされる社員を梃入れ要員として問題のラインへ出しても良い、とか非常に会社のことを思った前向きの提案です。

こういう人材が要所要所に居たからこの会社は「再建」が成ったのですが、ボヤボヤモタモタしていたら、数年前の赤字体質に戻る事なんて簡単です。

 

問題の生産管理担当者には「貴重な体験」ということで、会社が「先行投資」をしたと思えばよいのです。

「懲罰人事」で無いことをよくよく言い含めて現場へ復帰させ、他部門から「梃入れ」人材を提供して貰う事で急場を凌ぎつつ、社内の人材育成に真剣に取り組もうと、役員会は決議しました。

具体的には「多能工」の育成です。社員の互換性を高める事で、各ライン・作業所間の人材交流や技術伝承を進め、相手の気持ちを理解したり、多忙期にはお互い様の精神で助け合う、そんな現場にして行こうと言うのです。

 

経営者は、参加者の提案発議やアイディアに目を細めます。

だけど、それらのアイディアや提案を受け入れるのかどうかを判断するのは、経営者です。

殿さま風に「良きに計らえ」だけでは、経営はうまく行きません。

時には非常な決断も必要であるし、それは避けられないことでもあります。

 

今回は何とか良い対案が出され、事なきを得ると思われますが、経営者は毎日毎日、場面場面で「決断」を迫られ、その結果について全責任を負う立場でもあります。

悩んで悩んで…苦しんで苦しんで…という局面もあるでしょう。

 

でもだからこそ、刺激的で醍醐味ある役割なのかも知れませんね!(^^)!

 

 

 

 

 

 

 

 



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