事業再生の現場から

だから「私募債」は要らないって!!

9月中間決算期を迎え、金融機関の営業担当者・営業店(支店)幹部は、本部から期初に割り当てられている収益目標の達成を目指して顧客行脚に勤しんでいます。

この時期に余裕を持って自店の数字を眺めていられる支店長さんは、既に目標クリアに目途が着いた有力店舗(元々そんなに頑張らなくても店質と客質が良くて収益目標達成が容易なお店)を預かっているような、将来を嘱望されているような人材であるか、もしくは、今更期末にバタバタしたところで目標達成には程遠いと「達観」「傍観」しているような人達だけだと思います。

皆さん、自身の処遇を賭け、目標に到達しないまでも「excuse=言い訳」ができるくらいまでに自店業績を上げておきたい、と考えるのが「人情」なのです。したがって冒頭に書いたとおり、中間決算を控えたこの時期、遊んでいるような営業担当・支店幹部は、ほぼ皆無と言って良く、金融機関の皆さんは良く働き、限られた時間の中で非常に忙しくしています。

 

そんな金融機関の営業担当者が、私(村上)に会いたいと取引先にアプローチをかけて来たそうで、先々週初めてお話を伺うことになりました。

メガバンクに籍を置く営業マンの彼は、私が顧問をしているA社に「私募債」を売り込みたいんだそうです。

私募債…これも詳しく知りたい方は「ネットで検索」していただきたいのですが、簡単に言うと「おカネを貸したい」ということです。

私はどちらかと言うと、中小企業の「私募債」発行には懐疑的です。

 

A社の経理担当とA社長がこの営業マンから「私募債」の提案を受けた時、「でも…リンクスの村上さんが賛成しないと…」と粘ってくださったため、村上を動かしたいと、この営業マンから面談希望があったようです。

金利(期間5年)を思いっきり引下げ1%未満の水準にすることで、将来発生する支払利息をうんと節約できますよ、と言うのがこの営業マンがA社長を籠絡しようとしたロジック(論理)でした。

「でもフロント(取扱時)で手数料(私募債発行手数料・引受手数料等)を一括前取でしょ」私が指摘すると、「それはそうなんですがA社にも総額(金利)でメリットが…」と、若手行員の彼も引き下がりません。

「A社と取引したいなら“私募債”じゃなくて、堂々と証貸(融資の種類)でやれば良いんじゃない、私募債はリスケが効かないし、そうなった時にデフォルト(債務不履行)扱にされると困るから、やっぱり通常融資の方が良いんだけどね、A社にとっては。過去に同じような提案に乗って酷い目に遭った事例も色々見てるしね、私募債でメリットあるのはM銀さんだけだもんね、そういうのは押し売りしちゃいけないよね」

「分かりました…、でも…」

 

決算期に私募債…

「業績が良くなったら、きっと銀行が私募債みたいな商品を持ってきますよ、手数料稼ぎで…」

と数年前からA社長に言っていた通りになったので、私達は今回の提案を「さもありなん」と笑って見ているのですが(笑)

 

さて、近々また面談する予定ですが、彼氏はどんな提案を持ってくるのか…

 

 

 



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