事業再生の現場から

座礁事故で露呈する熟練乗組員不足のツケ

暦の上では先週末(8/7)に「立秋」を過ぎたとの事で「秋」がやって来たと言われますが、今日は関東各地に「熱中症警戒アラート」が発令、暑さはまだまだこれからの様相です。

今年の夏は「特別の夏」とされ、間もなくやって来る「お盆休み」も地方(実家)への帰省自粛の流れ…

当家でも名古屋・大阪にいる二人の息子からは、早々に「帰省しない」と連絡あり。

さてと、(お休みの間)何をしようか…。

 

新型コロナウィルス関連の報道が続きますが、先週末には「商船三井の貨物船がインド洋モーリシャス沖で座礁」とのニュースが大きく取り上げられていました。

世界的なリゾート地として知られるモーリシャスですが、今回の座礁事故で数千トンもの重油が貨物船から流れ出し、しかもそれが今現在も続いている「危機的な状況」にあるとの事…

モーリシャスの海岸に流れ着いた重油が希少な生物や景観にダメージを及ぼす画像は、思わず画面から目を背けたくなるくらい凄惨なモノで…

長く保護されてきた野生動物やサンゴ礁が汚染されて行く姿は見るに堪えません(>_<)

なぜ数十年以上も航行している航路を外れて「座礁」する事になったのか、真相究明はこれからでしょうけど(環境汚染を最小限に抑え込むべくダメージコントロール対策が優先ですから)、ニュース解説者が異口同音で指摘しているのは「コスト抑制を最優先にして来たツケが乗組員の質に影響しているのではないか」という点です。

 

世界中の物資を運び続ける商船会社にとっても、最大のコストは「人件費」です。

その人件費を削減(圧縮)するため、航行を支える乗船スタッフ(乗組員)は人件費の高い日本人から廉価な外国人への切り替えが進んでいます。

外国人乗組員を育成して航海スタッフに登用する動きは、何もこの10年20年で拡がった訳では無いようで、既に高度経済成長が陰り始めていた時代から数十年に渡って続いていたようです。

今では船長や航海士など、航行の司令塔となる幹部スタッフまで外国人が務める船もあるようですが、商船会社のOBや専門家からは「本当に大丈夫なのか?」との指摘も再々だったと伝わって来ます。

 

サスガに商船三井のような大会社になると、今回の事故が経営問題に直結する事案になるとは言えませんが、それでも開場前の東京株式市場では「気配値」で相当売り圧力が掛かっているようです。

中小企業なら大変な問題です。

技術(者)の継承問題は「一朝一夕」には解決できない問題ですが、今回の海洋汚染事故を「他山の石」とする事無く自社を鑑みる機会にしてはどうかなと思うのです。

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です