事業再生の現場から

賃上げの様相…中小企業の場合

春闘での賃上げ交渉も経営側の「決断」で、数十年ぶりの大幅賃上げが実現する事になりました。

国際紛争に端を発した「資源争奪戦」で非資源国「負け組」の悲哀を味わう事になったのか…と将来を悲観的に見ていた私ですが、皮肉な事に「諸物価の高騰」が賃上げを齎し、昨今、緩やかなインフレの兆しが見えている事に少し驚いています。

デフレ期に「財政規律派」と「上げ潮派」政治家の主導権争いが続いた時期が自民党内でありましたが、なんだ、結局やっぱりおカネを市場にバラまけばデフレ脱却の可能性はあったんじゃん、中途半端な事をやってるから「失われた30年」なんて言われる始末で…誰が責任取るんだよ、日本の国力後退!!(心の声)

こんな毒付き言葉が思い浮かぶのも、実体経済で所得増で消費拡大の可能性が拡がったからで…。

 

ところで弊社のお客様でも、この4月以降の賃上げについて、その方針が続々届いて来ています。

大まかに捉えると、7~8割の取引先で「賃上げ」を実施する予定のようです。

中には前年、前々年と連続赤字の会社であっても「賃上げ」を決断した会社もあり、心配です。

経営者によっては、”一度上げると引下げは困難だから…”と賃上げは小幅に抑え、賞与・一時金で社員の労に報いようとする動きも…

何人かの社長さんに伺うと「これだけ毎日のようにTVで“賃上げ・賃上げ”とやられちゃうんで、経営が苦しくても賃上げせざるを得ないんだ。給料が上がらないと今の人は簡単に転職しちゃうし、こっちは下請けでキビシイのにいい迷惑だよ。もう破れかぶれさ」と仰る経営者もいます。

政府は大企業向けに「下請け単価の引き上げ」「下請けいじめの排除」を訴えていますが、果たしてその効果がどこまで行き渡るのか…それには、時間の問題もあります。

昔から金融業界には「不景気から好景気への切り替え時には倒産が増える」と言う言い伝えがあります。

売上が反転増加に転じる段階で「材料仕入や固定費」等、売上が回収になる前に「立替金」が必要になる場面がありますが、ここで発生する「増加運転資金」需要に金融機関が必ずしも対応できない「資金繰りギャップ」が発生するのです。

不景気の時期は、当該企業の業績も低迷し「赤字決算」に沈む事も多く、金融機関は「過去の実績=直近決算書」を見て融資の可否を判断するものですから、そういう事が容易く起きていたのでしょう。

さて、今回のデフレ→弱インフレ期にはどんな事が起きるのか…

 

 



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