事業再生の現場から

金融円滑化法の後に⑪

昨日は久しぶりにハードな一日でした。(真面目に仕事しちゃいました!)

朝から帰宅するまでに、沢山の出会いがあり、ちょっと“人疲れ”の感が…。

初対面が続くのって楽しいのですが、ちょっと疲れますよね。お陰様で昨夜は熟睡!

朝一でお邪魔した先は、金属部品を加工する定型的な家内工業的中小企業で、お相手は社長さんご夫妻。

社長さんは一徹な技術者然とした雰囲気の方で、経理事務や資金出し入れ等、お金に関してはもっぱら奥様のご担当です。

当社で作っているモノや如何に技術的な競争力があるかについては饒舌な社長さんでしたが、ことお金に関する話題になると“主導権”は、奥様に綺麗にバトンタッチされます。まるで我が家のようです(笑)

資金繰りの相談だったのですが、「金融円滑化法が間もなく満了になりますが、取引銀行さんから何か言われませんか?」と水を向けると、「うちはリスケはしてないんです」との回答…。

決算書も見せて貰いましたが、正直営業キャッシュフローがマイナスなうえに現預金残も底を尽き掛け、とても正常返済を続けられるようには見えません。

「銀行から来ている返済予定表を見せてください」と私。

返済予定表を見せて貰うと、なんとメインA信金は、昨年5月からそれまで元金0で支援していた弁済額を200千円/月余に引き上げ、サブメインB信金は、今年の1月分からそれまで元金返済0で支援していた弁済額を同じく200千円/月余に引き上げている事が分かりました。

要するに、過去「金融円滑化法」の趣旨に沿って資金繰り支援していた取引金融機関が、現在は元々の約定弁済に近い水準まで返済を求めた結果、奥様の仰るように「うちはリスケはしていない(過去にはしていたが…)」との回答になる訳です。

結果、弁済原資が本業から出ないこの会社は、銀行系以外の資金調達窓口を探し出すか、自助努力(経営者の資産提供、在庫圧縮、買掛期間長期化etc)で運転資金を捻出するしか方法が無くなり、弊社が打診を受ける事になった、そんな経緯で面談する事になったのです。

A信金が元金返済を始めた事を知ったB信金が、強硬に抗議して「Aが返済するなら当然うちも…」となったそうです。

聞けば、双方の銀行とも保証協会&不動産担保が着いた“盤石な”融資らしいのですが…。

取り敢えず、ダメ元で「保証協会付で弁済再開から300万円近く返したのだから、半分の150万円を10回弁済扱いで申し込んでみたらどうですか?」と私。

それでもダメならまた連絡してね、とも。

それにしても“弁済開始”を顧客に“指導”するメイン・準メイン金融機関は、何を考えているのでしょう?

自社の事情をうまく伝えられずに、金融機関に“いいように”されちゃっている例が、日本中にいっぱいあるんでしょうけど…。

もう少し、顧客の事情を考えてあげれば良いのに…。

 



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