事業再生の現場から

金融円滑化法の後に⑫

先週末の29日、平成24年度最終日でしたが、こっそりと麻生副総理・金融担当大臣が、円滑化法に関してコメントを発表しました。

「中小企業金融円滑化法は、中小企業の倒産防止に一定の効果を残した。だが、業績改善の見込めない企業まで“延命”させる事になり、弊害も出ている。円滑化法は今年度で終了するが、金融機関においては法律が無くなるからといって、中小企業の資金繰りに悪影響の出る事のないよう、しっかりと対応して貰いたい」と、大体こんな趣旨だったと思います。

金融担当大臣として監督官庁(金融庁)を司る大臣が、わざわざコメントした背景を考えるべきでしょう。

この問題への世間の関心が高いと、政府(自民党)は思っている訳です。

実は私、先週の事でしたが「円滑化法の終了と中小企業資金繰りへの影響」と題してセミナーの講師をして来ました。

中小企業の資金繰りを考えるうえで、金融機関との良好な関係の維持は、大変重要な事だとは思いますが、それに頼り切るリスクも考えて経営すべきです。外部からの資金調達以前に、中小企業は自ら運転資金捻出の努力をしないとネ。

円滑化法について、私なりの見解をこれまでに何度もお話していますが、現場に出て感じるのは、債務者(借り手)側に危機感が足りないこと。

麻生大臣のような要人の発言を聞いて、益々安心して(何の対策も立てないで)しまうのではないか、とても心配です。

貸し手は、借り手に有利に働く取引を“喜んで受け入れる”のでしょうか?

法律で縛られればこそ、コンプライアンス(法令順守)を謳い、監督官庁の強い行政指導を受ける立場の金融機関は「イエスマン」になりきりますが…。

その実、金融機関の不良債権問題やそれに伴う経営責任は「個別行の問題」且つ「自己責任の原則」と言われてしまえば。

「円滑化法終了後も、中小企業の資金繰りに影響が出ないように」と言いつつ、「業績改善の見込みの無い先は除いて…」となれば、多くの事業者に影響が及ぶことは必至です。

貸し手のホンネは…。

 

 

 

 

 

 



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