事業再生の現場から

メガバンク国債売却の意味

上場企業のH26年度第一四半期決算が次々開示されています。

日本を代表するメガバンクである三井住友フィナンシャルグループ(以下SMBC)の同第一四半期の決算が発表されましたが、営業利益は2,800億円余と過去最高水準を達成したとのことです。(25.07.30付日本経済新聞)

このペースで行けば1兆円超えですかね? 凄い収益力ですよね、メガバンクって!

安部政権の登場によって昨秋から株式相場が反騰し保有株式の評価益が拡大した事や、企業倒産が減少して倒産関連費用の計上が少額で済んだ、という事が好決算の要因だったようです。

国債保有残も25年3月末に20兆円あったものが6月末で11兆円ですから、9兆円ほど減らしたことになります。

あまり大きな記事になっていませんでしたが…。

金融の量的緩和と積極的財政出動、そして規制緩和や新技術開発等の成長戦略で、長く続いたデフレを収束させたい安部流経済政策ですが、その副作用とも言うべき「長期金利の上昇」リスクも高まって来ています。

長期金利の代表的指標となるのが「10年もの長期国債の利回り」です。

株式市場や経済活動が活発になれば、運用資金を安全な「国債」から「株式」や「不動産」或いは「企業融資」等積極投資に振り向けたくなるのが「人情」です。したがって景気回復途上においては「債権(国債)」の“引き受け手”が減り、発行体(国債の場合は政府)は、発行条件を“引き受け手”に「より有利に」設定せざるを得なくなります。そうしないと国債の引き受け手が現れません、投資家は限られた資金限度の中で最大の収益確保を目指しているから当然です。

政府は、額面金利を引き上げざるを得ません。

ところで「国債」には流動性があります。償還期間(満期)前でも国債市場で取引(売買)できるのです。

投資家は「国債」を“安く買って高く売る”か、“高く売って安く買い戻すか”して利益を上げます。

他の資金運用の方が利回りが高いと云うことになれば、国債の人気が落ちて買い手が減ります。そうなると国債も商品ですから価値(価格)が下落します。国債価格が下落すると、より有利な条件で無ければ保有しても良いと云う投資家が居なくなるので、金利は一層騰がって行きます。

一昨年~昨年に掛けて起こった欧州財政危機が良い例です。

今は日銀が国債の受け皿になって「無制限」に近い状態で国債を買い入れてますが、民間銀行はそうは行きません。

来たるべき「国債暴落」リスクに備えて“早々に手を打っている”、私にはそう見えます。

 



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