事業再生の現場から

マイナス金利へ 日銀政策決定

日銀は29日金融政策決定会合を開き、銀行等が日銀に預ける当座預金について0.1%の手数料を付加する「マイナス金利」の導入を決めたようです。

資金を預かって貰うのに、0.1%とは言え「手数料」を徴求するのですから、預ける側は堪りません。0.1%というと「大したことはない」ように聞こえますが、10兆円の0.1%は100億円になります。コスト0の預金がいきなり数億円単位の負担増になるのですから、金融機関からは恨み節が聞こえてきそうです。

それも大手金融機関であれば、費用的な負担も国外での運用等で経営の足枷になることはまず無いのでしょうが、中小金融機関において「マイナス金利」の持つ意味は大きいと思います。

政府・日銀は「マイナス金利」を梃子に、市場に資金をばらまき、景気浮揚を図りたいのだと思いますが、そもそも首都圏や大都市圏は別にして、地方には中小金融機関の運用先となるような「需要」が多くないのです。

少子高齢化や都市部への人口流出が、大きな要因です。

今回の「マイナス金利」導入で、運用先に困った地域金融機関同士の合従連衡が、益々加速されるかも知れません。

 

一方で今日の株式市場は、日銀の政策決定を歓迎したムードです。

日経平均株価は500円近く上昇しました。

ただ実態経済への梃入れ効果を評価されたと言うよりは、金融緩和が益々進み市場におカネが集まるのではという観測が強まったせいなのではないでしょうか。

「業績相場」が限界に近づきつつある中、今一度「金融相場」を演出しようとしているとしか私には思えません。この時点での「追加緩和」に、健全な経済発展に資する政策とはどうしても思えないのです。

今回の政策決定プロセスで、マイナス金利導入に賛成した日銀委員は5人(反対は4人)だったそうです。半数の委員が追加緩和の必要性に疑問を感じていたと言うことです。

いずれ実態経済にしわ寄せが来ないよう、祈るしかないのかも知れませんね。

 

 



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