事業再生の現場から

㈱油定の経営破綻②

ちょうど一か月前の1/13、突然の新聞報道で、宇都宮の老舗企業・㈱油定が経営破綻したことを知りました。

長い業歴を刻んできた企業だけに、会社の「看板」と言うか「商号」は業界関係者だけでなく、近隣にも知れ渡った存在であり、皆の耳目を集めるニュースだったと思います。

 

昨日届いた帝国データバンク発行の週刊帝国ニュース(2/11号)に、同社の破綻に纏わる続報が載っていますので、少し紹介したいと思います。

同誌によると、㈱油定の負債は7億5,000万円あったようです。

直近売上(H27年8月期)は、2億4,500万円足らずと報じてますので、同社の負債は、売上の3倍に達していました。

債権者の名簿も明らかにされています。

最大債権者は足利銀行で約4億円、金融債務は足銀を筆頭に合計で5億円余に達しています。平均借入金利を2.00%と仮定しても、金利負担だけで、年間1,000万円余が必要になる勘定です。

仮に売上の10%が粗利(売上高総利益)だったとしても、2,400万円しか残らない中で、その半分近くが借入金の金利支払で消えてしまう計算になりますから、資金繰りを回すのも相当キツかった筈です。同社の主業が「卸売業」であることを考慮すると、実際の粗利率はもっと低いでしょうし。

 

㈱油定は、あきらかに「過剰債務企業」であった訳です。

おそらく過去の赤字が「負債(借入金)」となって、同社の体力を蝕んで行ったのだと思いますが、「借りた方も借りた方」なら「貸した方も貸した方」です。

事業実態を把握すること無く「湯水のように」資金支援を続けた結果が、今回の措置に繋がって行ったのだろうことは、想像に難くありません。「古き良き時代の遺物」と“総括”して問題を片付けてしまうのもどうかと思います…。

「事なかれ主義」「目先の利益優先」「臭いモノには蓋」

“言うは易く行うは難し”ですが、“コンプライアンス重視”とか“経営者のモラルハザードが…”とか言う前に、自分の姿を鏡で見直しすることも必要なのじゃないか…と。(ちっちゃい声でホンネを言っちゃいました、汗っ)

まぁ銀行さんがロスするのも、“自己責任なんだから放っておいてよ”と言われれば、その通りなのですがね(((^^;



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