事業再生の現場から

東昭建設の破綻②

同社の経営破綻について、過日「速報」を聞いてから、このブログにコメントしましたが、1週間が過ぎて色々情報が出てきたようなので、もう一度触れてみようかと思います。

信用調査会社の帝国データバンクの取材によると、

東昭建設㈱は、千葉県柏市に本社を置く広島建設㈱がスポンサー(出資者)となった㈱東昭建設に事業と従業員を「移管」して清算の準備に入ったようです。

東昭建設㈱が㈱東昭建設に「移管」なんて、キツネにつままれたような気がしますが、スポンサーにしてみれば、東昭建設の長年培った「ブランド」(社名)と熟練の技術者に魅力を感じたということでもあるのでしょうか。

 

私がこの顛末を聞いて、一番最初に思ったのは「なぜ千葉(県)の会社がスポンサーなの?」という疑問でした。しかも報道によると、広島建設㈱はゼネコン(総合建設業)と言うよりビルダー(住宅建築業者)に近い事業形態のようです。

住宅建築業者が土建屋さんを呑みこむような案件です。

確かに昨今、東日本大震災の復興工事や東京五輪関連事業、リニア新幹線設備等々、国内土木建設工事業界には、将来に向けた数々の案件がめじろ押しで、スーパーゼネコン(清水・鹿島・大成・大林・竹中)やそれに続くゼネコンクラスも目一杯の受注を抱えていると聞きます。

ゼネコンという業態に魅力がない訳ではないと思います。

 

だけど東昭建設の地盤は、矢板市を基盤とした栃木県北から県央地域です。

しかも今回事業「移管」を受け、5月12日から業務を引き継いだとされる㈱東昭建設は新設会社のようです。直ぐに地方公共団体の「指名」を受けられる訳ではありません。したがって入札資格を取得できるまで当分の間、公共事業入札からは締め出されることになるでしょう。「東昭建設」ブランドの威力が「公共事業」に活かされるのは、随分先のことになりそうです。

まぁスポンサーさんもその辺りの事情は事前に把握しているでしょうから、支援の目的は別にあるのかも知れませんね。技術者の確保とかね…。やり方によっては、仕事は幾らでも回せるでしょうしね。

 

最後に一点

倒産情報をネットで検索している時に、「JCネット」なるサイトで東昭建設㈱破綻関係の記事をみつけました。

笑えたのは、東昭建設破綻の原因を取引銀行の融資債権売却だと「断罪」してるところ…。以下同サイトから抜粋してみます。

東昭建設㈱(栃木)/事業停止 清算へ

「…官庁工事の減少から売上不振に陥る中、取引銀行が融資債権を債権回収会社に叩き売り、同社は信用不安に陥り…今後、破産を含む清算に移行するもの」

「同社のメイン銀行は逃げの足銀だった」

 

“逃げの足銀”も久々目にしたけど、面倒見が良すぎたと思っている東昭建設に関わって来た銀行関係者(私も含めて)の気持ちは別として、世間の銀行を見る目は相変わらず厳しいんだなと思った次第です。

 



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