事業再生の現場から

地銀に未来は…③

上場地銀の70%に相当する55行が、30年9月中間決算で対前年比減益になったと報道されました。

注目のスルガ銀行は、問題となったシェアハウス関連融資に掛る「引当金」を積み増した他、不動産関連融資の貸倒費用を計上したようで、1,000億円に迫ろうかという巨額の赤字を計上したようです。

スルガ銀行まで極端なケースは無かったとしても、大半の銀行が…、しかも減益を免れたとは言いつつ利益の中身を見ると、本業である「資金利ザヤ」による稼ぎは減少の一途であり、地銀業界の先行きなお燭光が見えず…と言ったところでしょうか。

 

先般、関東地区に本店を構える某地銀担当者と話をした時に聞いた事案ですが…

この担当者の方は、融資業務の中でも「管理回収」業務を10年近く経験した異色の人材のようで、支店でも「要注意先」以下の融資取引先を一手に担当しているんだそうです。

最近、銀行が「破綻懸念先」と認定してから数年、一切の新規融資に対応できず、融資先の自助努力を見守るだけ(モニタリングと彼らは言います)だった取引先から「一括返済」の申し入れがあり、3億円近い融資を回収した事案について話が及びました。

本来、上場している銀行は「要管理債権」以下の「不良債権」を開示(ディスクローズ)する義務があります。

上の例で行くと、「破綻懸念先」への融資が3億円も回収できたのですら、決算で開示すべきディスクロ債権が減り、業績評価で頭取表彰モノの快挙だと思うのですが、最近はそう単純では無いようなのです。

 

彼が言うには

「事は当該企業が某自動車系列のティア2に位置する事だったのです。銀行は単に、この会社の財務諸表を持って破綻懸念先に格付していましたが、この会社の技術・ノウハウが無いと某系列のラインが止まってしまうくらい影響力があったようで、当行が依然として格付を破懸に置き、金利引き下げも追加融資にも応じない事を見切った親会社のティア1(上場企業)が自社系列のファイナンス会社から1.0%以下の金利で資金を引き出し、当行の融資を肩代わったと言うのが実態でした。融資部は当初、“不良債権をよく回収した”と呑気なことを言ってましたが、それを知った営業推進部から、“そんな大事な動向が何故事前に把握できなかったのか”、と支店長席に叱責が飛んだと聞きました。銀行としては、既に引当金を積んだ以上、毎年3%以上の好金利で運用できる大事な金の卵を離したくなかったんでしょうね。いったい僕らはどっちの顔で営業したら良いのか分かんないですよ。若い子達も相変わらずどんどんヤメて行くし…」

 

氷山の一角だと思いますが、銀行も大変そうです(((^^;

 



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