事業再生の現場から

航空機生産業界にも異変が…

全日空(ANA)が、リストラ策の一環として一部の社員をトヨタ等へ「出向」という形で受け入れを依頼しているというニュースが入って来ました。

ANAは、今期決算で5,000億円を超える最終赤字を計上する見込みである事を先日発表したばかりですが、国内外の人の移動は未だ「回復」には程遠く、親密企業に自社従業員を「一時預け」の形で託し「後日を期す」作戦のようです。

5,000億円の赤字と聞いても、気の遠くなるような数字で、私なんぞには現実味がありません(^^;

中小企業で1年間にその10,000分の1、つまり5,000万円の赤字になろうものなら「スワっこれは大変だ!!」となりますが、5,000億円はあまりにも巨額で実感が湧きません。

 

コロナで、旅客運輸業界は大変…

ここに来て、大手航空業界の苦戦を伝えるニュースを「対岸の火事」として見ている訳にも行かなくなりました。

直近では「三菱ジェット」で知られる三菱重工Gによる国産初の大型ジェット機開発プロジェクトが、規模縮小に追い込まれる等、ジェット機生産に纏わる後ろ向きなニュースも続いているのです。

 

世界的な航空機メーカー・ボーイング社の本社は米国シアトルですが、ボーイング製航空機の部品加工や生産品には日本国内の中小企業が多く関わっています。

(たぶん欧州のエアバス社製航空機にも、日本国内企業が生産した部品が使われているものと思われます)

航空機産業は参入障壁(生産設備の量質・技術力水準の高さ)が高く、なかなか新参者が入って行けるような業界ではないんだと聞いた事があります。

その代わり“選ばれた”事業者に対しては、国内の元請企業の面倒見は非常に良いらしく、長期に渡って安定的な受注が期待できるからと、高額な設備投資を積極的に行って来た中小企業も多いのです。

上記のような業界事情は銀行も当然承知の事ですから、「運用難」の時代、数少ない成長分野にチャレンジする優良企業という認識で「設備投資」を応援、つまり積極的に融資を行って来ていました。

 

ところが経済のグローバル化に伴う、人的移動交流・物流量の拡大によって息の長い成長が期待されていた航空機産業に異変が生じています。

前述ANAの苦戦もその一環ですが、空運業界の苦戦はリストラ策としての航空機の処分に繋がり、航空機の新規受注案件も多くがキャンセルされているのでしょう。

末端の生産現場である町工場(中小企業)では生産調整が続き、週休3~4日体制が数か月間続いている事業所もあります。

比較的短期間に収束したリーマンショック時の「需要減」に対して、収束時期が見えない「コロナ禍」に経営者からのため息が続きます。

何から始めたら良いのか…

大事な社員のリストラが始まってしまうと、繁忙期に対応できないし…

 

 

 

 

 



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