事業再生の現場から

新たな債権者の登場…②

そもそも話がおかしいと思ったのは、先方(P社)担当者が半年間で3度も元社長宅を訪れていると話していること…。

それも「名古屋から来た」と、相手方は言っているらしい。

不動産過去任意売買の際に、担保抹消代金として数十万円をローン保証会社に支払ってから、無職・年金暮らしとなった元社長は、保証会社からT社(サービサー)に債権が譲渡されてからも、1円の返済だってしていないのだ。

そんな「回収が見込めるとは思えない」債務者に対して、わざわざ時間と費用を掛けて、債権者が自宅まで訪れて来るだろうか?

しかも名古屋から…。

 

「名刺も出さないのであれば、もしかして先方はサービサーから雇われた興信所とかの担当者かも知れませんね。そういう類の仕事も受けると、以前関係者から聞いたことがありますよ」

「今度自宅に担当者が来たら、名刺など身分を証明するモノを提示してから、お話をすると良いですよ。それから、息子さんに借入金残債を請求すると言っているのであれば、次回から交渉時には“ボイスレコーダー”をテーブルの上に置いてください。サービサーは、資本金要件や取締役の弁護士要件、従業員の前歴要件など、法務大臣認可で商売するうえで相当な規制が掛っています。法律に違反するような、或いは恫喝に近いような交渉は、末端の社員と言えども許されない業種なんです」

「自宅の登記簿謄本を見ると分かりますが、自宅の任意売買前にお父さん(土地所有)の持ち分が、住宅公庫によって相続登記されているでしょ。債権者による代位登記と言います。債権者は相続手続きをしない債務者に代わって、債権回収を進める目的で自然相続があった前提で、不動産等の相続登記を進めることがあります。社長の自宅がまさにこれで、その時の登記情報が履歴として、今も残っている訳です。この部分がそうです」

「債権回収に詳しい者なら、こんなことは当たり前の知識なのです。知っているのか、社長を試しているのか知りませんが、登記簿謄本を見れば明らかなことなのに、今更お父さんの遺産を調査して云々を言ってるなんて、とてもサービサーの社員とは思われませんよね」

かくして、1週間後に元社長の回答を得るため、また「名古屋から来る」と言い放った新たな債権者の紳士…

話し合いの結果は、どうなのるか??

たぶん、また連絡が来るだろうなぁ。

 



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