事業再生の現場から

嬉しい知らせ(個人保証の解除)②

昨日の続き…

「それじゃぁ、駄目モトで息子さんの連帯保証解除を銀行と交渉してみましょうか?」と言って、元専務が住宅ローンを組んでいる銀行さんと交渉し始めたのが、ちょうど1年前でした。

私には「実質破綻状態にある父母に代わって、幾ら連帯保証人であっても息子を破産に追い込む程強烈な回収は(メイン行として)しないだろうな。有償解除(お金を払って保証人を抜ける事)の理由付と金額次第で、うまく纏める事ができるかも知れない…。」との読みがありました。

「弁護士に頼んでも“埒が明かない”」と嘆く元専務の仰るように、この辺りの“機微”は業界事情に精通していないとなかなか理解できないと思います。だから幾ら弁護士さんが銀行と交渉しても“直球勝負”に拘っている間は、なかなか色良い返事が得られないんだろうと思います。

元専務と伴に債権者たる銀行さんを訪れ、元専務宅の事情を説明し担保になっている自宅を速やかに売却後、息子さんの年収の約半分程度の金を奥様の実家から用立てして貰い、銀行に弁済する事で基本的に債権者の合意を取り付ける事ができました。

ただ此処で問題が起きたのです。

この住宅ローンには、元専務宅の関係者(専務・専務夫人・長男)の他に亡くなった実兄の連帯保証が付いていました。

細かい事まで説明するとまだまだ話が終わませんので省略しますが、この「亡兄相続人の承諾」が条件とされたのです。

銀行は勿論、元専務も亡兄の相続手続完了の有無さえ知りません。

長年兄を助けてA社を盛り立てて来た元専務ですが、A社の「事業再生」支援を債権者に委ねる途上で信頼する長兄を亡くした後は、どういう訳か兄の遺族との関係がうまく行ってなかったようです。

結果、住宅ローンの連帯保証人(専務長男)解除の条件として「長兄相続人の承諾」が必要な事も遺族にお話する事もできずに、この件は“中途半端な”ままいったん幕を下ろすことになったのです。

あれから1年、担保となった自宅を処分した後、3月末にメイン行から「サービサー」に住宅ローン債権が譲渡(売却)されたとのこと。

メイン行で社内協議(稟議)された書類を引き継いだサービサー担当者から“速攻”面談の要請があり、4月中に専務と夫人が揃って東京に出向き事情を説明したうえで、昨年銀行さんと合意していた金額を債権者に一括弁済することで息子さんの連帯保証を解除して貰えることになったのだとか。もちろん長兄相続人の同意なんか条件にならなかったとのこと。

「お世話になったのにお礼もできなくて申し訳ないです…」と、元専務から事の顛末を窺うことができたという次第です。

「これで息子も結婚に前向きになってくれる(^o^)」

専務の喜びは「自らの不始末を次代に引き継がせずに済んだ」安堵感からなのでしょう。

仕事にこそなりませんでしたが、こういう事があるから(感謝してくれる方がいるから)私達は仕事を続けて行けるんだと思います。

 

 



コメント

  1. 山田の案山子 より:

    やっぱり経営者側と従業員の会社に対する
    責任の重さが違うと実感しますね
    従業員は辞めてしまえばそれで終わり
    しかし株式会社がいくら有限責任といっても
    保証と言う事になると又別問題になりますよね
    同族で会社を経営したり
    小資本で運営していく上で必ず必要になるのが資金
    その資金も通常考えられる数百万ではなく
    数千万もしくは億と言う事になれば
    個人で全て出せるはずもありません
    そこで他人資本の銀行が出て来るわけですが
    最初のプラン通りに行けば良いのですが
    必ず躓きがあるものです
    そんな時には是非リンクスさん
    助けてあげて欲しいと思います

    • 村上 浩 より:

      山田の案山子様

       コメント有難うございます。
      中小企業の場合、借入申込=代表者個人の連帯保証が
      当たり前のようにセットとして考えられてしまいます。
      これが「事業」や「家計」の再生を目指すうえでどれだけ
      足枷になっているかはご指摘の通りです。
       ただ私達は与えられた環境・条件下でクライアントのため
      最大限の力を発揮するのみです。
      微力ながら助力を求められる皆様のお役に立てれば、と思う毎日です。

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