事業再生の現場から

経営者リスク

「経営者リスク」とは、真剣に事業経営をされている経営者に対して、随分失礼で高飛車な言い方かも知れませんね。

当該企業にお金を融資している銀行等の「債権者目線」でのモノの言い方なのでしょう。

融資案件の「可否」を検討する際に、時の上司から「でっ、経営者リスクはどうなんだ?」と散々聞かれたような気がします。

不祥事や放漫経営、後継者問題や経営者としての資質の問題など「経営者」リスクとしては、様々な事項が挙げられると思いますが、私として切実な問題になっている事が、実はひとつあります。

それはクライアント先の社長さんに関する問題です。

この社長さん、とにかく「人に優しい」のです。

家業は明治から続く名門企業で社長さんも地元の名士、慶応幼稚舎から生粋の「慶応ボーイ」で年齢を感じさせないオシャレなダンディおやじ。

話術も巧みで人当りも良く気配りも上手と来ては「友達になってほしいよね」と思うくらいの完璧ナイスガイなのです。

ただ一点、「事業経営者としての顔」を除いては…。

名門企業を引き継いでからの社長さんの歴史は、低成長経済に伴い減少する売上・利益と資金調達との奮闘でした。

長い事業歴を誇る名門企業一族ですから、社長さん個人や周辺一族の保有資産もたっぷりあり、10年くらい前までの銀行の取引姿勢は「積極的」で「赤字補填資金」と知りつつ、抜本的な改革を求めることも無く資金提供に務めて来た経緯が残っています。

ところが、リーマンショック以降“風向き”が一変しました。

銀行も本部「企業支援チーム」が担当になり、同社の経営改善を真剣に指導し出したのです。

とにかく「人柄の良い」社長さんです。

売上は10年前の3分の1に減っても、従業員の数そのものは殆ど減じていません。

それどころか、従業員の年齢が10歳増加した事で「生産性の落ち込み」が顕著となり、売上と従業員の体感する繁忙感が悪い処で「縮小均衡」している感じです。

従業員は「私達は忙しくやっているのに会社はどうして利益が上がらないの? もう何年もベースアップも無いし…」と不満タラタラ。

一方の社長さんに対しては“銀行筋”から「思い切った人的リストラを決断しないと、これ以上の支援は難しくなりますよ」との警告も。

困った社長さんから「経営改善指導」の依頼が飛び込んで来たという流れなんです。

あれっ、前置きが長くて申し訳あれません。

続きは次回に…。

 

 

 

 



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