事業再生の現場から

経営者リスク②

昨日の続き…

銀行の「企業支援チーム」とは言っても、365日24時間体制で支援企業をモニタリング(監視)する事は不可能です。

そもそも「取引銀行」とは言っても経営者にとっては「他人」ですし、幾ら“人に優しい”社長さんであっても「銀行からの人材派遣」(まぁ出向ですね、所謂“銀行管理”に近いイメージです)には相当抵抗したようです。

「それならキチンと(自社で)実態を把握したうえで、持続可能な再建計画を作ってください。 それが支援継続の最低条件です!」とまで言われてしまえば、煽られて社長の危機感も相当高まったことでしょう。

それから間もなくして弊社へのアクセスとなりました。

銀行筋にも「改善計画策定とモニタリング」まで含めてコンサルに入る事を挨拶がてら説明、同時に銀行が明らかにして貰いたい事項を社長同席のうえで数点確認してからお仕事の開始です。

まず決算は過去数年に渡っての「連続赤字」で、資産を時価評価で見直すと「実質債務超過」であることが直ぐ分ります。

銀行は(連帯保証人たる)社長さんの保有する「資産」を考慮して同社の格付を「要注意先」に留めているのです。

余談ですが、それもどうかとは思いますが「金融検査マニュアル(中小企業編)」通りの扱いですし、リスクを取っているのは取引銀行の方ですから、格付についてクライアント側からどうのこうの言うことはありません。

でも弊社の見立てでは(社長の保有資産を考慮しても)、どう見てもこの会社は「破綻懸念先」です。

体力回復を急がないと出血多量で生命の危機に晒されるでしょうし、第一銀行からの「輸血」さえ止められ兼ねないレベルです。

まずは、止血しないと…。

資金繰りを立てながら収入と支出項目をチェックして行くと、残高的にどうしても目に着く項目があります。

人件費(労務費)や賃貸料、地代家賃等の「固定費」項目です。

昨日お話しした通り、この会社売上は数年前の3分の1に減っているのに、従業員数はこの数年間殆ど変わってません。

しかも従業員の中には昇格・昇給もあり社会保険料負担増も相俟って、労働分配率が業界平均に比べて異様に高い状況に陥っていました。

社長がリストラを決断できなかったのです。

当然銀行筋からは「矢の催促」されていたのですが、長い業歴の間に銀行は銀行で当社の先代、先々代に言葉で尽くせないくらい世話になったとの想いもあって、支店長・本部担当者の腰も引けていました。

社長さんの従業員や事業周辺に居る関係者に対する「意地」もあったのだと思います。

「社長!! 趣味でやってるならともかくビジネスとしてこの事業を考えるなら、まずダイエットに取り組みましょう」

「体力を維持するための点滴は銀行に事情を説明して継続可能です。問題は現状続ければ続けるほど出血が酷くなっていることです。これでは後半年も持ちませんよ」

まず社長に現状から目を背けず「ありのまま」を見聞きして貰い「覚悟」を決めていただく、ここからが弊社の本当の出番です。

 

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です