事業再生の現場から

金融円滑化法の後に⑬

久し振りの表題です。

3月いっぱいで終了した「中小企業金融円滑化法」の影響に関心を寄せている経営者の方も多いと思いますが、此処に来て感覚的には5月中旬以降でしょうか、金融機関のリスケ延長に対する反応が少々「塩辛く」なって来たように感じます。

弊社は毎月初にミーティングを行なうのですが、それぞれの担当がやはり同様の感想を述べています。

円滑化法が終了して間もない4月中に期日延長できたリスケ債権も実はたくさんあって、私達は「円滑化法終了前の対応を手のひらを返すように変える事はできないだろうな」等と多少“多寡を括って”いたことも事実なのですが、何か金融機関内部での「指針」のようなモノが決められて来たような気がします。

例えばリスケ延長を認めるとしても弁済額の「増額」について、執拗な言い方をして来る例も増えて来ているようです。

取引先の経営改善と収益力拡大を求めることは「債権者」として当然の要求だとは思いますが、取引先の支払能力や資金繰りを無視しての「弁済増額要求」は如何なモノかと思います。

つい先日もこんな事がありました。

某銀行某支店の例です。

保証協会保証付で新規融資を出した後、割と早いタイミングで「リスケ」依頼をしたA社の要求を約1年前に“渋々呑んだ”メイン行でしたが、半年後のリスケ延長の際に「経営改善計画」提出を条件として1度は更に半年間のリスケ期限延長を認めてくれました。

ところが「円滑化法」が期限切れとなった後に初めて期限到来を迎えた先月、A社からの更なる半年間の期限延長になかなか首を縦に振ってくれません。

「経営改善計画」策定後、毎月の損益実績と資金繰り実績を管理表にまとめ「モニタリング」資料として毎月説明していたにも拘わらず、です…。

某銀担当者が仰るには「改善計画をもっと右肩上がりにして、返済額を上げてくれないと保証協会が通りません…」

社長と説明&嘆願に同席する私は「実現可能な計画を出して日々努力している、銀行さんの求めるレベルには残念ながら到達できる状態ではない、どうしても弁済額を上げろというなら計画を修正するが、できない約束になることは目に見えている、それじゃぁお互いに不幸になるんじゃないの?」

確かにA社は3年連続で1,000万円を超える大赤字を計上中で「債務超過」企業。

銀行返済も「利払いのみ」で元金返済は現状ゼロです。

それでも今期は期初から営業利益・経常利益ともプラスで推移していて、銀行から新規融資が出ない現状で「手許資金充実」のため更に「利払いのみ」を半年求めているレベルではあるんですがね。

でもできない事を「できる」とは言えないしなぁ、A社のリスケは今も宙ぶらりん…。

さてっと、どういう風に片付けようかなぁ。

 



コメント

  1. 山田の案山子 より:

    やはり案じていた事が現実になりつつあるのですね

    金融機関は基準遵守と言うか、お堅い所で自己判断や

    自己裁量が少ないように思います、当然リスク回避は当たり前ですが

    それにしても本物のバンカーを見つけるのは困難と言うより

    絶滅危惧種になっちゃいましたね

    • 村上 浩 より:

      山田の案山子様

      いつもいつもコメント下さり有難うございます。
      金融機関の対応を非難するつもりはないのですが、つい「もう少し考えた言動をしなよ!」と言ってしまいたくなってしまう、悪い癖ですっ。

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