事業再生の現場から

窮鼠猫を噛む

昨日の続きではないですが…。

債権者(金融機関)側からの“あまりの仕打ち”に債務者(借入人)側が反撥して成功した事例も、私達は見知っています。

1.メイン行からサービサーに債権売却され一瞬地獄を垣間見たが、財務リストラ&業績改善が一気に進みV字回復した事例

2.業績回復見込無と判断され自宅まで競売に出されたが、スポンサーが出現、その後会社業績回復し自宅も買い戻した事例

3.保証協会へ代弁された後、別会社での業態変換が成功し、以前処分された自宅以上の資産を保持している事例 etc

いずれも本当にあった案件ですが、こういう経験をされた経営者は「あの時、取引銀行が決断してくれたからこそ、現在無借金で商売が続けられるんですよ」と私のような若輩者が意見した処で、聞く耳を持って頂けません。

感情的には「恨み骨髄」に達してますから、「江戸の敵を長崎で…」くらいの気持ちでいるのでしょう、元の取引行には足も向けませんし、極々たまーに元取引行関係者と社外で出くわしても“挨拶もそこそこ”、話をしたい相手を袖に足早に立ち去る事が多いのだそうです。

前述のようなケースでは、当然ですが、事業は継続しています。

事業者の周辺には、従業員も居れば取引先もありますし、モノを買ったり売ったり動かしたり、それに伴ってお金も動きます。

メイン行から「三行半(みくだりはん)」を突きつけられた時に、その銀行との会社取引(融資取引・当座預金等)は強制終了させられますが、その後も事業自体は続けるのですから、どこかの銀行に(融資は除いて)取引を移管するしかありません。

そして元取引行より、規模の小さい金融機関等に「普通預金」を開設して売上金の入金口座を確保したり、従業員の給振口座や財形口座を開いたりから始めざるを得ません。

今までの事業成績・規模から「歯牙にも掛けなかった」規模の金融機関に、頭を下げて口座を開設させて貰うのです。

成功する経営者は「異口同音」に仰います。

「今に見てろ!」

プライドを賭けて、リベンジを誓うのです!(^^)!

うまく時流に乗って苦境を脱すると、うまくしたもので何処で聞きつけるのか、第二創業時にお世話になった銀行以外の営業担当が訪問して来たりして、ビジネスが更に拡大して行きます。

今度は「元取引行」が再生して力強さを増した元取引先から、評価を受ける番になります。

「元取引行」自身に認識があるかどうかは別にして、財界団体や自治体関係、業界仲間や地域住民等いわゆる「世間の評判」と言う、やっかいな敵を相手にせざるを得なくなります。

窮鼠は猫を噛むんです…

 

 



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