事業再生の現場から

銀行の債権放棄は進むのか?

先週土曜日に続き今朝の日経新聞にも、中小企業の再生支援策「私的整理基準」見直しに関する記事が掲載されました。

政府が「成長戦略」の一環として金融庁を中心に「私的整理ガイドライン」を見直し、金融機関による不振企業に対する「債権放棄」をし易くするよう、中小企業庁・国税庁との調整も済んで、いよいよ今月中に金融機関に通達する事となったようです。

果たして政府の目論み通り、金融機関による経営不振企業への「債権放棄」案件は進むのでしょうか?

記事によると、不振企業の連帯保証に苦慮する経営者の自立・再生を促すため、一定額の資産(100~450万円くらい)と華美でない程度の自宅を経営者の手許に残すことを許容しつつ、「債権放棄」しても、銀行は残債務を「無税」で償却(貸倒損失処理)できると言うのが「ミソ」で、画期的と言っても良い内容だと思います。

従来、税務当局は、なかなか「無税償却」を認めてはくれません。

相手側企業が営業継続中であったり、連帯保証人に資力や収入が僅かでもあると「無税償却」ができないので、銀行はサービサー等への「債権譲渡(売却)」という手段を使って不良債権の処理を進めているのです。

今回、政策支援により税務当局の償却許容要件を緩和した事は、銀行の不良債権処理方法のカードが1枚増えた事を意味します。

ただ「手間暇の掛る」債務者管理業務にそれだけの人員を振り向ける意味と余裕が銀行にあるのか、そこが「銀行による債権放棄が進むかどうか」のポイントになるような気がします。

まぁ、お手並み拝見ってことですかね。

糠喜びすると、後が大変なので…。冷静に、ネ。

 



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