事業再生の現場から

地銀は生き残れるか㉕

数年前から「デフォルト」(債務不履行)の危機が噂されてきたユニゾホールディングスが、とうとう先月26日に東京地裁へ民事再生法の申請を行いました。

ユニゾHDは不動産・ホテル事業大手で、経営破綻に伴う負債総額は1,260億円規模になるようです。

コロナ禍による稼働率低下が同社に止めを刺す結果となったようですが、ユニゾHD経営危機の噂は金融業界では常に耳にする事でしたし、経済誌に特集された時には「負債総額は3,000億円規模になるのでは?」と言われていた負債規模でしたので「実際はその半分以下で済みそうだ」と分かり、胸を撫でおろした関係者も多い事だろうと思います。

民間信用調査会社によると、金融機関等からの借入金が総額650億円、その他社債等の負債が610億円程度見込まれるようです。

 

同社へ総額650億円もの資金を貸し出していた金融機関一覧も明らかになっています。

代表的なところでは、城ケ島合同会社 54億5,000万円余、アビリオ債権回収 50億4,300億円余。

城ケ島社は投資ファンドが保有するSPC(特定目的会社)でしょうか、アビリオさんはサービサー(債権回収専門会社)ですね。共に金融機関等から融資債権を買い取ったものだと思われます。

続いて神奈川県信用農業(協組連) 47億円、北國銀行 45億6,000万円余、西日本シティ銀行 39億2,000万円余、東日本銀行 37億4,000万円余等と続いて行きます。

債権者一覧には地銀・第二地銀、各県協組連の名が続きます。

 

ユニゾHDの民再法申請を受けて、上場している企業では決算修正が必要となり、決算発表を延期した地方銀行もありました。

借入金の他に、同HDが発行している「社債」を購入(投資)している地銀も多数ある、と指摘する記事もあります。

同社の経営破綻が、同社へ投融資していた債権者の業績にどんな影響を与えるかは、徐々に明らかにされて行くものと思いますが、印象として、地銀業界に与えたインパクトはかなり大きいものと思わざるを得ません。

特に債券投資で億を超える損失を出したと聞くと、「えぇっ、また?」と言いたくなる株主がたくさんいらっしゃるのではないか、とも思います。

この道はいつか来た道…

 

こんなこと書くと「余計なお世話だよ」と言われそうですが…

大丈夫なんでしょうかね、地銀の未来は…

 

 

 



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