事業再生の現場から

地銀は生き残れるか㉖

先週に続き…

先日の投稿は、国内不動産ホテル大手事業者の経営破綻によって明らかとなった地銀融資残高をベースに書いたものですが、今回は保有する外債損失に関する私の考えを書いて行こうと思います。

 

米国では、中堅規模のシリコンバレー銀行経営破綻から、それこそ”後を追うように”第二・第三の銀行破綻が続いています。

事の発端は、FRBによる市中金利引き上げに伴い、①保有する債権価格の下落が銀行財務の悪化に拍車をかけた事、②銀行財務悪化に伴う信用力の低下(失墜)で破綻を怖れた預金者による取付け騒動が発生した事、によるものだそうです。

26年前に足利銀行でも発生した事があるので、私にも生々しい記憶として残っていますが、銀行は「取付け騒ぎ」で簡単に潰れてしまいます。

預金者の立場からすれば、大切なおカネを預けておく銀行が倒産に追い込まれて自分の預金が「パーっ」になってしまったら、「残念だったね…」では済みません。

自分の大事な財産を守ろうと、必死になって預金引き出しに店舗・窓口へ殺到する事になるのです。

市場や預金者の支持を失うと、預金(預り金)を運用している銀行は、ひとたまりもありません。

そういった信用システムの動揺が広範囲に拡散する前に、大手金融機関等が経営破綻に至った(行きそうな)銀行等を救済するような動きが発生します。

政府が後押しして、問題が広範囲・深刻化する前に事態の鎮静化を図るのです。

 

国は違えど、クレディ・スイスが破綻した際にスイスの大手金融会社UBSがスイス政府の後押しで同社の救済に乗り出したのも、信用システムの破綻を食い止めるための決断でした。

その際にはクレディ・スイスが発行した2兆円余の社債が紙くずになる、という事態となりましたが。

NY株式市場では「次のターゲットは何処か?」魔女狩り的な雰囲気が醸し出されているとも聞きます。

預金流出やちょっとした悪い情報が出回ると、空売り専門のファンド等によって叩き売りの対象になってしまいます。

金融機関にとって暫くは落ち着かない日々が続きそうです。

何故なら米国の中堅銀行が仮に自前の社債を発行していないとしても、国債や社債、その他仕組債等の投資家であることは間違いないからです。

金利上昇によって債券価格が下がる事は金融経済学では一番最初に教わる事ですが、金利上昇より「受給関係」の方が価格に与えるインパクトは強いのです。

保有していれば価値がどんどん下がる債権を手放さない投資家はいません。

少なくとも破綻銀行の経営を引き受ける後継者は、債券相場の先行きを見て「保有継続」か「売却」を選択する筈です。

 

日本の銀行も、相当額の外債を保有しています。

地場で運用先の少ない地銀や中小金融機関は、特に高利回り外債に着目していたと思います。

「この道はいつか来た道…」

地銀にとっては、また一段と厳しい風がアメリカから吹いて来そうです。

 

 



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