事業再生の現場から

地銀は生き残れるか⑬

常陽銀行と足利銀行の親会社足利HDとの経営統合が、いよいよ10月1日に迫りました。

昨日の東京株式市場では、常陽銀行株の最後の売買が行われ、同行の株価は435円の終値を付けて引けました。

常陽銀行は足利HDに吸収され、10月1日からは「めぶきフィナンシャルグループ(めぶきFG)」として、引き続き株式市場で売買されるようです。

 

昨日の東京株式市場での日経平均株価は、前場大幅マイナスから後場に切り替えし(米大統領選挙のTV討論会で民主党候補が優位に立ったとの見方を好感した買いだったと理由づけされていましたが…)、最終的には前日比100円以上の値上がりを記録しましたが、地銀株は軒並み値を下げました。

日銀・黒田総裁が「マイナス金利を更に深堀する用意がある」と発言したと伝えられ、利ザヤの縮小で苦境に立つ地方銀行が更に「減益」に陥るのではないか、と観測されているのです。

週刊ダイヤモンドの前々回号あたりでは「没落する金融エリート」と題した、金融業界を取り巻く「苦しい環境の変化」を特集していました。

 

マイナス金利の波及で市中金利が下がり、利ザヤ縮小に苦しむのはメガバンクも同じではありますが、成長著しい海外案件に投融資できるメガバンクはまだマシとして、固定基盤から「逃れられない」地方銀行以下の経営規模の金融機関にとっては、利ザヤの縮小は死活問題となります。

あっ、因みに…

利ザヤと言うのは「利鞘」が本来でして、預金(預り金)と貸出金(融資金)との金利差のことを言います。

現状の金融環境でしたら、ある銀行が、お客様から年利0.01%の1年物定期預金を預かり、仮にこれを期間1年の短期扱いで取引先に年利1.50%で貸出すると、単純に利ザヤは 1.50 -0.01 = 1.49%になります。

実際には、融資には「与信コスト」と呼ばれる様々な経費がプラスされるので、前述のような大きな収益にはなりません。でも、基本的には「コスト」が上乗せされるにしても、貸出金利-預金金利の差が大きければ大きいほど、銀行の「利ザヤ=貸出利益」は増加します。

今問題になっているのは、貸出金利が「政策」によって頭を押さえられている事で、銀行の収益が抑えられているし、今後更に金融緩和を続けることで、その傾向に拍車が掛るのを関係者や市場が不安に思っていると言うことに他ならないのです。

 

ともかく来月からは「めぶきFG」が登場します。

地銀業界でも大手どうしの「水平統合」の行方は、果たしてどうなるのでしょうか?

 



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