事業再生の現場から

遠交近攻

尖閣諸島の国有化から昨日11日で、ちょうど1年が経ったとのことです。

心配された中国国内での反日デモも大きなニュースにはなっておらず、日本政府や中国を重要視する企業にとっては、取り敢えずホッとしているところだと思います。

ただ今月は18日が満州事変のきっかけとなった柳条湖事件の発生した日で、中国全土で反日集会やデモが行なわれる可能性もあり、現地で暮らす邦人関係者にとって気を緩める事のできない時季が続きます。

帝国主義の時代に「満州国」という傀儡政権を使って華北3省を支配した因果で、未だに一部中国人民や同じように一時併合された朝鮮人民の一部から“敵視”される日本ですが、お互いが理解し合えるにはまだまだ時間が掛りそうです。

話は変わりますが、中国には「遠交近攻」という考え方があるそうです。

遠い中国戦国時代(今から2,500年くらい前)、戦国7雄と言われた中でも最も勢力の強かった「秦」が「遠交近攻」政策を説く范雎(はんしょ)を宰相に起用し、一気に中国を統一して行った故事に基づく有名な話です。

范雎は、それまでの「秦」の政策であった「遠攻近交」策を改め、攻めやすく攻め取った領土も保全し易い「遠交近攻」策を昭襄王に薦めました。そして、実際に隣国「韓」を攻め滅ぼすのを皮切りに、最後には親しく交わっていた「斉」を滅亡させ、秦王政(後の始皇帝)による天下統一の足掛りを作ったのです。

今の外交・安保政策でも、同じような姿がチラホラ目に付きます。

中国はGDP世界2位の経済大国となり、米国債権の最大保有国になりました。

中国の安全保障上の関心事は、アメリカとのツートップで世界秩序を維持することなのでしょう。

アメリカ(遠国)と結んで(交わり)、日本・ベトナム・台湾(近国)を圧迫(攻める)する。

こんな構図が浮かび上がって来ます。

さて、日本がそれに対抗するには…。

アメリカ・欧州・ロシア・インド、もっと近くではASEAN各国。

中国包囲網と言うには大げさですが、やっかいな隣人と対等に対話して行くためには、世界中の味方が多ければ多い方が良いというのも事実です。

私達が平和で安全な日々を送るためには、残念ながら多額のコストが掛ってしまうようです。

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です