事業再生の現場から

ウィルホームの倒産③

皆さまの関心が非常に高いようなので続編を…

昨日届いたTSR情報(東京商工リサーチ)によると、ウィルホームの経営破綻(事業停止)についての詳細が少しずつ分かって来たようです。

同誌によると、同社の直近決算での売上高は16.8億円(H27年9月期)で、営業損益については不明。ただし「負債総額」が9.2億円となっていましたから、金融機関に対する借入債務は無論、建築資材業者に対する買掛債務、下請業者への未払債務など、同社の破綻によって損害を受けた関係者の数と金額は、事業規模の割に「大きかった」ことが分かります。

さらに、建築途中で「止まった」工事があるなら(ネットで同社に対する情報交換の様子を窺うと、実際に工事停止となって困っている施主さんがいるようです)、工事請負契約に対する「違反行為」となり「損害賠償」請求の対象となるでしょうから、厳密に負債を精査して行くと、最終的には負債総額10億円を超える倒産劇となるかも知れません。

誌面では、今夏以降資材業者や外注先への支払が遅延していたとも書かれていますから、同社と取引のあった業者の中には、ある程度同社の動向に神経を遣い、警戒していた向きもあったと思われます。

 

問題なのは、事態の収拾が収束する気配を見せないことでしょう。

同社は文書で「弁護士と相談中」としていますが、件の知人によると「まだ社長は行方不明のようだ、業者仲間で捜している」と言うことのようですので、建築途中で工事が止まったままの施主さんにしても、工事完成に向けて、具体的にどう対処して良いのか、見当も着かないのではないでしょうか。

無論、相当額の未収金が発生する業者の憤懣やる方ない怒りの矛先が、社長を始めとする経営者に向けられることも予想されますが、ウィルホームが会社として「ハッキリ」した態度を取らないことには、債権者側にとっての「迷惑行為」が続くことになります。

例えば「不渡倒産」や「破産申立」などハッキリした経営破綻(倒産)なら、加盟していれば「倒産防止共済」から掛金の10倍の融資金(無利息)が利用できますが、単に「事業停止」「自主廃業」などでは「倒産要件」を満たさず、共済事由が適用されないようです。

年も押し迫ったこの時期に、多額の未払を抱え苦悩する取引先を考えれば、責任者の取るべき行動は、自ずと明らかなのだと思うのですが…。

 



コメント

  1. 匿名 より:

    はじめまして。
    情報が欲しくて検索してたらたどり着きました。
    ウィルホームと契約した施主です。
    自分は契約金を払ったままの状態です。着工前です。
    弁護士を頼むお金もなく、このまま泣き寝入りになりそうで
    悔しいです。
    新しい情報がありましたらウィルの記事を続けてください。

    • 村上 浩 より:

      匿名さま

      コメント有り難うございます。
      地場ビルダーで勢いのあったウィルホームが、こんな騒ぎになって残念な想いもあり、拙い記事を書いています。
      私も特別な情報源を持っている訳でなく、その点では匿名さまと何ら違いはありません。
      余計なお世話と聞き流して頂いて結構ですが、同社「被害者の会」のような組織が結成されるとも聞きます。
      弁護士も「相談」で知見を伺うだけなら数千円で済むかも知れません。
      相談できる窓口を見つける事が、現状脱却の近道だと思います。長文失礼しましたm(_ _)m 村上

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