事業再生の現場から

いわき信組の後始末は…

昨年来からの不正融資報道に揺れる福島県・いわき信用組合で、架空口座を使った新たな不良債権隠しの手口が明らかになったと報道が続いています。

詳細は今後さらに明かされて行くのでしょうけど、分かっている中では金額にして17億円あまり、不良債権隠しに使われた架空口座は80口余に上ると言います。

過去10年以上前から、旧経営陣の手(指示)で不良債権隠しが行われて来たと報じられていますが、この間には数回に渡って、金融庁や財務局の検査も入っているでしょうし、それらの当局監査を巧く躱(かわ)して来たとも言えると思います。

逆に、この間当局が実態を把握する事ができなかったため、問題が長期且つ膨大な規模になって行った、と言われても仕方無いのかも知れません。

 

いわき信組は2012年に200億円の公的資金を受入ています。

東日本大震災時に地震や津波で大きな被害に遭った地域ですから、それ自体はやむを得ないことだったろうと思います。

ですが、その後の隠蔽手口を見ると、旧経営陣が隠したかったのは、社外に公表しなければならない(ディスクロ)不良債権の残高そのものよりも、不良債権化した取引先そのものや発生に至った経緯の方を隠したかったように思えてなりません。

信組経営陣の近い所に存在する取引先への情実融資や杜撰な審査は、昔からよくある話です。

過去には上記のような融資が焦げ付いた事で問題が発覚し、融資実行に関与した金融機関関係者が刑事事件で告発されたケースだってあります。

そういった事態を回避しようと、不良債権化した実態を隠蔽すべく、不正に手を染めて行ったと考えるのが自然に思えるのですが。

 

過去には小泉・竹中ライン全盛期、時代の寵児と持て囃された人物がいました。

その有名人は「日本振興銀行」なる、ミドル(中)リスク・ミドル(中)リターンターゲットに対する中小企業専門融資の必要性を理念に掲げ、新規で銀行業の免許を取得し銀行業経営に乗り出しましたが、自分がアドバイザーを務めた金融庁の検査「忌避」をキッカケに、表舞台から姿を消してしまいました。

前述いわき信組の不良債権隠しも、金融検査時に重大な事実を意図的に隠蔽した「検査忌避」に当たるんじゃないかなと思います。

担当大臣は「厳正に対応する」と語っていますが、果たしてどんな罰を受ける事になるのか…

因果応報とは言え、利用者や融資取引先に不利な結末とならないよう願うばかりです。

 



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