事業再生の現場から

奨学金破綻問題を考える

先日、取引先の社長に随行して「業績報告」のため、取引金融機関周りをしていた時の話ですが…。

相手方は信用金庫の担当者。年の頃は、社長や私と同じ50歳台前半のベテラン職員さんです。

社長さんにもこの担当者にも、現在大学に在学中の息子さんが居ると言い、学費や仕送り負担の重さや奨学金の有り難さ、そして最近良く耳にする、奨学金弁済が滞って増加していると言う「奨学金破綻」の問題についても話が及びます。

 

昨今の奨学金は(弁済義務のない「給付金」は別として)、利用するためのハードルが低くなり、割と簡単に利用できるようです。20年以上に及ぶ不況の中にあった日本ですから、進学を考える子弟や保護者は、挙って奨学金を利用しようと考えたのだと思います。

利用手続きが簡単になったのですから、奨学金を活用して上級学校へ進学、学識と経験を積んだうえで社会人となり、いずれ給与の中から弁済を続けることで奨学金を完済、返済された奨学金元金と利息は、いずれ次世代の奨学金利用者が活用できる「原資」となる、これが大まかな奨学金の流れかと思います。

 

社長と担当者も奨学金の話題で盛り上がります。

社長「うちみたいな貧乏会社ならともかく、金融機関に勤めている人でも奨学金を利用しないといけないのかい?」

担当「私の処は、長男と次男が同時に在籍しているんです。もちろん大学は別々ですが、奨学金でも使って貰わないと、とても仕送りとアルバイトだけでは持ちません。将来の返済を考えると気の毒な気もしますが、本人たちが奨学金を利用してでも、どうしても大学に行きたいっていうんでね」

社長「それは良い事だよ、寧ろ子供の自立を考えたら本人に責任を感じて貰った方が良いと思うし。問題は就職しても直ぐにドロップアウト(退社)しなきゃいいけどってことかなぁ。自分が明確に使ったものを社会人になってから少しずつ返すっていうのは、良い制度だと思うよ」

担当「それが心配ですよね。せっかく就活で希望の会社に入ることができても、“自分のイメージと違う”とか“本当にやりたいことではなかった”なんて言われた日には、ねぇ? 奨学金はずーっと着いて回るものですしねぇ」

このお二人は「奨学金は全額国庫負担にしろ」とか「無利息にしろ」とか、そういう類の主張をしている訳ではありません。借りたモノはきちんと返す、万万が一本人が返済に窮した場合は、ご本人(親御さん)が責任を持って弁済すべき、との考えです。

 

しかし現実には、奨学金を利用して社会人となったもののその弁済が滞り、奨学金だけの問題に留まらず、住宅ローンやクレジットカード利用にも差し支えるケースが頻出しているようです。

問題解決の方法は何処にあるんでしょうか。

 

 

 

 

 



コメント

※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です