事業再生の現場から

社員に倒産確率を知らせるという事

お早うございます。

何処かの新聞に、国内リゾートホテル運営大手の「星野リゾート」星野代表が、グループ従業員に向けて自社の「倒産確率」を敢えて知らせたという記事と、代表が決断した目的と公表後の効果についてのインタビュー記事も載っていました。

同社は常日頃からグループ社員に対して「売上高」「施設ごとの利益」「施設稼働率」を開示しているそうで、その受け入れ(従業員)側にも下地があるのでしょうけど、それにしても思い切った決断だと思います。

その倒産確率とは「売上の減少率(対前年比)」「経費の削減可能性」「資金調達の可能性(余力)」の三項目によって、当社が独自に定義付けしたモノのようですが、昨年5月のコロナ第一波時で38.5%だったそうです。

星野氏は「社員が当時もっとも知りたいことを開示」したそうですが、そこから「倒産確率」をどうやったら下げられるのかと、社員同士が発奮、なんとかコロナ禍が始まって1年経った今も「星野リゾート」は経営を維持できていると、インタビューに答えていました。

上記のような事は、大企業の経営者であっても、勇気がいる決断です。

しかし普段の下地があった上であったとは言え、より経営規模が脆弱なホテル業の一経営者が「従業員の発奮」と「やってのけるであろう力」を信じて、働く会社の実情に近い情報をオープンにしたのです。

業界の革命児星野氏らしい決断と言えばそうですが、並みの経営者にできる判断ではありません。

 

中小企業の経営者であれば「社員が働かないんだようなぁ、もう少しやる気を見せて頑張ってくれれば、うちの会社の業績も良くなるのに…」とボヤキの一つも言いたくなるのが、普通だと思います。

その一方で、経営会社の業績に従業員の奮起が大きな要素である事を薄々感じつつ、肝心の社員がやる気になる方法の導入には「無頓着」なのが、普通の経営者です。

 

私達も会社業績の立て直しのため、中期計画(経営改善計画)を策定する機会が多くあります。

社内の組織図や業務フローから「キーパーソン」となっている社員さんをピックアップし、経営者を外して「個人面談」をするのが、計画づくりの第一歩です。

業務の中核を為す中心社員の関心事は、ズバリ「会社の経営内情」にあります。

私達のような者が社外から登場するのです。

当然、会社の調子が良くない事は、多くの社員も知っています。

また昇給が何年も止まっていたり、夏冬の賞与もこの数年間は支給〇の実績が続いている事も多いのです。

 

話が長くなってしまいましたので、今日は一旦ここで閉じますが、会社の経営状態を当事者である幹部社員等に理解して貰う事は、会社の事業に決してマイナスな点ばかりではありません。

今日紹介した星野リゾートの成功事例が、明日の貴社の姿になっているかも知れません。

続きは次回…

 

 



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