事業再生の現場から

再生の現場ならではの「生」の実例②

前回の続き

都内の建設業者(A社)へ初めてお邪魔した折に見せていただいた決算書を見て驚いたのは、この会社が大幅債務超過だから…なのではありません。

私が以前「事業再生」のお手伝いをしたB社の名前を「買掛金」欄に見つけたからです。

B社は都内の会社では無いので、まさかこんな東京のど真ん中(千代田区)に本社を置く会社の決算書に、田舎の土建屋さんであるB社の名前が載っている事に驚いたのでした。

「神様のお導きか…」普段は何の信心も持たない私ですが(笑)、この時はホント驚きました。

 

A社長には内緒ですが、後日、B社の経理担当をしているCさんに「実は先日都内の某建設会社の決算書を見せていただく機会があって…そしたら御社への工事代金未払金が600万円くらい残っていると計上してあったんです。令和02年01月から同12月までの間に御社に外注した工事があったようなんでが、都内の会社に2年以上も回収が遅れている未収金(売掛金)あります?」と聞いてみました。

弊社は今B社とのコンサル契約はありませんが、元々は10年以上の付き合いのある会社ですし経理担当のCさんとは苦しい時代を一緒に経験・乗り越えて来た仲ですから、多少の融通は利かせてくれます。

「いやぁ、そんな勘定はないなぁ…。そんなのあったら建築部をどやしつけますしねぇ(笑)」とCさん。もう一度帳簿をひっくり返して調べてみるとの回答に甘えて帰社したところ「やっぱり未収金は無いです。それどころかA社の下請工事をしたとの記録もが無いのです。建築部に確認しても、そもそもそんな工事はやっていないようです。お役に立てずにスミマセン」

うーん、という事はA社からすれば「買掛金(工事未払金)」の架空計上か…

そう言えばA社長も「支払う必要の無い勘定が買掛金のうち相当額がある筈」って言ってたなぁ。

取り敢えず、私が裏を取っただけで600万円のA社負債が、実は無かったモノだった事が分かりました。

という事は、(A社買掛金の中には)他にも同じようなモノがあるんじゃないの?

A社は1億円以上の債務超過企業という事になっているけど、本当の実態はキチンと調べてみないと分からないって事か…

A社のメイン行は何やってんだろうな…(色々な事が頭に浮かび消えて行きます)

まだA社からは正式なコンサルタント契約のオファーをいただいていないので、昨日今日の段階では「大きなお世話」なのかも知れませんが、財務諸表が「自由奔放」「勝手気まま」な会社である事は理解しました。

オファーがあったら、A社の立て直し方法を真剣に考えようと思います。

それにしても、私初めてです。

自らの足で企業間の貸借関係を確認して、負債勘定に水増しがあった事例は。

しかも東京と某県某市との企業間で…。

でもこういう偶然って言うのがあるから、仕事って面白いんですよね!(^^)!

 



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