事業再生の現場から

マッチポンプ(弁護士の告白)

自分で問題提起をして物議を醸し出し、問題解決を図ろうとする行為を「自作自演」或いは「マッチポンプ」とでも言うのでしょうか。

消費者ローン(俗に言うサラ金)系の金融会社は、過去に利息制限法を超えて受け取っていた「過払金」問題で、弁護士や司法書士等法曹業界においては、「過払金バブル」と言われるほど痛めつけられて来ました。

過去に顧客から取り過ぎていた過払利息を、弁護士や司法書士(金額制限があるそうです)が代理人として金融業者に請求し、回収に成功した金額の中から20%前後の手数料を頂戴するというビジネスです。

TV・ラジオでもいくつかの弁護士法人や司法書士法人がCMを流し、見込み客の掘り起こしに躍起です。

某司法書士事務所のCMでは、「昨年一年間に相談に乗った1万人に平均70万円の過払い金があり…」と言ってますから、それが本当ならこの司法書士事務所が関与した案件の総額は、実に70億円…。

その成功報酬たるや、驚くほどの金額に上るのでしょうね。

 

実は一昨日、仲よくしている弁護士氏と都内で会食しました。

彼は私より10歳以上若手の青年弁護士なのですが、年齢を超えて「ウマが合い」いろいろな情報交換をさせて貰ってます。

その彼曰く「最近は過払金も飽和状態で、弁護士業界では次のターゲットとして“労働問題”が熱い視線を浴びてますよ」とか、業界や事務所の内情を教えてくれます。

「労働問題って、労務トラブルで労働者側に着くってことかい?」と私。

「必ずしも雇用される側に着くんじゃなくて、会社側に着くことの方が多いんです。弁護士仲間で、或る事務所に解雇や残業代未払で(元)従業員が相談に来た場合、当然相手側(会社・役員)が誰なのかも分かる訳ですから、労働問題が弁護士介入事件や裁判になる場合、相手側も我々業界にとっては大切な“見込客”になるんですよ」

「へーぇ、そうなの? でもまさか、同じ事務所で労使双方の代理人は請負できないだろ?」

「はいその通りなんですが、そこは“蛇の道はへび”で、クライアントの利害を保ちながら、業界内で共存できるよう我々も色々考えてまして…。なんだか“マッチポンプ”みたいで、個人的にはこういうの良くないと思うんですがね。最近はだから、過払金じゃなくて労働問題に力を入れてる(弁護士)事務所が多いみたいです。CMとかやってる事務所もあるでしょ…」

ふーんっ、そうなんだ。

マッチポンプねぇ…。

 



コメント

  1. 山田の案山子 より:

    確かに過剰流動性になった弁護士・・・・
    法律を盾に訴訟社会に持ち込むつもりなんですね
    訴訟社会は何の生産性もありません
    何故なら世界でいう戦争ですから
    戦争で生産されるものがないのと同じで
    日本社会も非生産的な労力を費やす時期が来るのでしょうね
    特に中小企業はやり難くなりそうですね

    • 村上 浩 より:

      山田の案山子様

       社会保険労務士も文字通り「労務問題」で食べてる職種ですが、社労士の先生に
       聞いても「このような事案が増えている」との見解は同じでした。
       経営体力の弱い中小企業においては、特に、労務問題が新たな「経営リスク」に
       なりつつあると言う事でしょうね。

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