事業再生の現場から

社長のこだわりが会社を救う

久し振りに仕事のことを

取引先から決算書が出来上がったと連絡があり、金融支援(リスケ)をしてくれている銀行への報告用にと、経営改善計画との実績比較表を作って(取引先へ)持参しました。

社長と顔を会わせるのは半年ぶりです。

この会社は、今から5年前、借入金のリスケをメイン銀行に申し入れる時点で「経営改善計画」を策定しました。

当時のメイン行格付は「要注意先」でしたが、毎月のように手形貸付の実行・弁済を繰り返し、資金繰りには四苦八苦していました。当時は、敢えて「破綻懸念先」へのランクダウンを覚悟して、メイン行にリスケを申し入れ、以降の資金繰り安定を謀って来たのです。

メイン行は目を瞑っていてくれましたが、同社の自己資本は銀行員なら誰の目で見ても「実質債務超過」状態であり、他所の銀行の何処もが「火中の栗を拾う」などという蛮勇を見せることは無く、本当に資金繰り破綻も覚悟、そこまで行った先でした。

そんな中の出来事でしたが、改善計画が始まった 2年目に、同社事業の将来性に暗雲が漂う事態が発生しました。

決算で資本が減少し、従来維持していた許認可が取り消されてしまったのです。

このままでは仕事量が激減することが、眼に見えています。

ですが、決算上の自己資本を急激に回復させる手段など草々ありません。

私と経理を担当する社長夫人は、半ば諦め組で、「地道に下請から再生しましょうよ」という立場を取っていました。

ところが社長は「会社を再生するには、この免許をどうしても維持する必要があるんだ。頼むから何とか方法を考えて貰いたい」との一点張りです。

社長の粘りに閉口しながらも、色々な方法を使って(ちょっと此処では言えない方法です)、その許認可を再申請するに足る自己資本を捻出させました。

通常1年で占める決算を2か月の超短期で締め直し税務署に申告です。この時相当額を益出ししましたから、納税額も相当なものになりました。納税負担が大きく会社の資金繰りにも影響を及ぼしましだか、それでも社長は従来から保持して来たその許認可にこだわりがあったのでした。

それから4年…

特殊決算を組んだ後の同社は、アベノミクスの恩恵を受け4年連続で改善計画の売上・利益目標を高々とクリア、この間に手許流動性預金を2億円以上積み上げて来ました。

借入金の方は、未だリスケ支援を続けて貰っているので、預金と借入金がほぼ同額の「両建て」状態となっています。銀行の出方によっては、全額弁済することもヤブサカではありません。

社長と経理を担当している奥さま、私とで久し振りにミーティングです。

結論は「社長のこだわりが無かったら、今の会社は無かった」ということでした。

私も素直にそう思います。

社長のこだわりを私の意見で潰していたら、たぶん、いえっ間違いなくこの会社は無くなっていたと思います。仕事があっても受注できず、廃業に追い込まれていたことでしょう。

「社長のこだわりが会社を救った」好事例でした!(^^)!

 

 



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