事業再生の現場から

事業再生の代表事例になるか? E社の挑戦②

前回の続き…

順調に再生の道を辿っていると思われたk元社長(k社はスポンサーから派遣された社長を中心とした経営陣に衣替え)から数年ぶりに連絡がありましたが、その連絡を受けた瞬間、私は「やっぱりね」(別に青学大の駅伝チームに寄せた訳ではありませんが(笑))と思ったのでした。

民事再生という手段を使うと決めた当時のK社長と当社の意見が対立したのも、「民事再生法は良いとしても選ぶスポンサー・パートナー次第では、経営のフリーハンドは維持できないし、早晩意見が対立してk社の再生がとん挫してしまい兼ねませんよ。つまりスポンサーは慎重に選ぶ必要がある訳です」とのアドバイスに耳を貸さず、結局は弁護士事務所の甘言に釣られ、同所主導で切羽詰まった選択をしてしまったk社長に”あきれ果て”たのが原因でした。

たぶん(荒っぽい)スポンサーとは「上手くいかないだろうな」と思ったとおりで、「制作サイド」と「経営サイド」の意見が合わず、最終的に数人のスタッフを連れてk元社長がk社を飛び出したとの結果となったようです。

 

元々k元社長は、現場でのモノ作りに没頭したいタイプです。

今回k元社長と行動を共にしたスタッフも何人かいるようで、立ち上げ「資金」さえあれば、一度は経営破綻を招いたものの、今度はそのつらい経験を糧にして真っ当な事業運営ができると思う、と語る目には「志」が見えます。

モノ作りに必要な材料仕入先や外注先も、資金さえきちんと支払えるのであれば、そのまま使えそうでもあり…。

販売先も従来の商流はそのまま使えずとも、一緒にドロップアウトした営業担当者は、業界歴30数年のベテランで、全国の小売店との長年の信頼関係があります。

何よりk元社長そのものが「インフルエンサー」ですから、自社のECサイトを立ち上げて「直販」するのも面白そうです。(以前k社でも同じことをやって来ているので、経験値は充分です)

それじゃあ、本当の「事業再生」を目指しましょうかという事で、k元社長達と真剣に事業立ち上げの相談が始まりました。

 

ポイントは商品を企画・試作・販売したとして、売上代金回収までに1年近い月日を費やす事です。

その間の費用は、優に1,000万円を超える事になるでしょう。

いわゆる「運転資金」が必要になるのです。

通常であれば「資本金」が用意できれば、事足りるのですが、k元社長たちは前職時代に経営会社に資産を注ぎ込んでおり、資金的な余裕がありません。

さて、どうやって立ち上げの資金を作って行くか、まず一つ目のハードルが待っていました。



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